2018 Fiscal Year Annual Research Report
Impact evaluation of a remedial mathematics program and a nudge toward participation at a faculty of social sciences in Japan
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18H05701
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山崎 泉 学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (00643181)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 高等教育の経済学 / リメディアル教育 / インパクト評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では教育経済学と行動経済学双方の知見に基づき、日本の大学の社会科学系学部において①数学のリメディアル教育への参加促進ナッジの効果の検証と、②数学のリメディアル教育そのものの効果を検証する。①については「新入生に在学生が個人的にリメディアル教育への参加を促す手紙を送る」ことをランダム化し参加への効果を検証する。②については日本の大学の社会科学系学部での数学のリメディアル教育の効果(認知能力と非認知能力への効果)を検証する。日本の文系学部で数学のリメディアル教育が実施されたとしてもその参加率は高くない。また、数学のリメディアル教育の短期的・長期的影響を厳密に検証した実証分析も日本にはほぼ存在しない。本研究を通し、日本の社会科学系学部のリメディアル教育やカリキュラム等に参考になる情報を提供したい。本研究で活用するデータは、研究代表者山﨑の所属学部で実施する2019年度と2020年度の新入生(毎年約200人)対象の入学前数学補習授業に関連するデータである。
2018年10月から2019年2月の期間に共同研究者の乾教授と協力し数学補習授業とインパクト評価の準備を行った。2018年2月には大学の倫理委員会で本研究の承認を得た。
2018年3月前半にはランダム化比較試験の実施方法について関係者が研修を受けた。また、山﨑の所属学部の2019年度入学予定者を処置群と対照群にランダムに振り分け、数学補習授業の案内、アンケートの協力依頼と(処置群には)3月末の数学の補習授業のへの参加を促す手紙を送付した。同月後半はオンラインでの新入生対象アンケート・数学テストを実施し、新入生対象数学補習授業を実施した。今年度も昨年度と同じように2020年度の新入生対象に同じランダム化比較試験を実施予定である。また、今年度中に1年目のデータの分析を実施し、日本経済学会等の学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、2018年10月から2019年2月の期間に共同研究者の乾教授と協力し、数学補習授業とインパクト評価の準備を行い、2018年2月には山﨑の所属大学で本研究の倫理審査を受け、大学の倫理委員会で本研究の承認を得ることができた。
2018年3月前半にはランダム化比較試験の実施方法について山﨑を含む関係者が研修を受けた。また、山﨑の所属学部の2019年度入学予定者263名を処置群と対照群にランダムに振り分け、数学補習授業の案内、アンケートの協力依頼と(処置群には)3月末の数学の補習授業のへの参加を促す手紙を送付した。同月後半はオンラインでの新入生対象アンケート・数学テストを実施し(75名が回答)、新入生対象数学補習授業を実施した(約120名が参加)。
大学の倫理審査の承認を受けるまでに予想以上に時間がかかったが、2019年3月のランダム化比較試験の実施までには間に合わせることができた。第1回数学テスト・アンケートは実施したのが入学前であったことから、回答率が29%と低くなっている。今後複数回フォローアップのアンケートを実施予定であるので、そこでサンプル数を増やしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り第1回数学テスト・アンケートは実施したのが入学前であったことから、回答率が29%と低くなっている。今後複数回フォローアップのアンケートを実施予定であるので、そこでサンプル数を増やしたいと考えている。
具体的には以下のスケジュールで今後の研究を推進予定である。 【2019年4月】リサーチ補助アルバイトの採用、本学部2019年度一年生(新入生)にフォローアップアンケート(第二回アンケート)を実施、【2019年5-12月】第一回ランダム化比較試験のデータ分析、2020年度数学補習授業の準備(講師の手配等)、第二回ランダム化比較試験(2020年3月)の準備、【2019年12月-2020年3月中旬】本学部来年度入学者(約200人)が確定次第、入学予定者をランダムに処置群と対照群に振り分け/研究代表者の山﨑と研究協力者の乾教授と相談の上、本学部の在学生が処置群の新入生に向けて3月末実施の入学前の数学補習授業への参加を促す手紙を作成しそれを送付、【2020年1月】日本経済学会春季大会(2020年6月頃)研究報告申込、【2019年3月下旬】本学部の2019年度の一年生にフォローアップアンケート(第三回アンケート)を実施/本学部の2020年度の新入生を対象とし、オンラインでの数学を含めた認知能力のテスト、非認知能力を測るアンケートを実施、【2020年3月末】2020年の新入生に向けた数学補習授業の実施
【2020年4月以降】(助成対象外だが)フォローアップアンケートの実施、2年分のデータ分析、学会発表、論文執筆
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