2020 Fiscal Year Research-status Report

日本の社会科学系学部の数学リメディアル教育と参加促進ナッジのインパクト評価

Research Project

Project/Area Number	19K20900
Research Institution	Gakushuin University
Principal Investigator	山崎泉学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (00643181)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	高等教育の経済学 / リメディアル教育 / インパクト評価
Outline of Annual Research Achievements	本研究では教育経済学と行動経済学双方の知見に基づき、日本の大学の社会科学系学部において①数学のリメディアル教育への参加促進ナッジの効果の検証と、②数学のリメディアル教育そのものの効果を検証する。①については「新入生に在学生が個人的にリメディアル教育への参加を促す手紙を送る」ことをランダム化し参加への効果を検証する。②については日本の大学の社会科学系学部での数学のリメディアル教育の効果を検証する。日本の文系学部で数学のリメディアル教育が実施されたとしてもその参加率は高くない。また、数学のリメディアル教育の短期的・長期的影響を厳密に検証した実証分析も日本にはほぼ存在しない。本研究を通し、日本の社会科学系学部のリメディアル教育やカリキュラム等に参考になる情報を提供したい。本研究で活用するデータは、研究代表者山﨑の所属学部で実施する2019・2020年度の新入生対象の入学前数学補習授業に関するデータの予定であった。 2020年3月に2020年度の新入生に対して、介入・調査を実施予定であったが、新型コロナ感染拡大という予想外の事態が起きたため、数学の補習授業がキャンセルになり、2020年度までプロジェクトを延長した。また代表者が2020年5月から2021年度3月まで休業となった為、2020年度の本プロジェクトの研究期間は約一ヶ月半となり、2020年度は2019年度新入生の第二回調査の準備をするに留まった。そしてさらに2021年度まで研究プロジェクトを延長する申請を行った。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 上述の通り、新型コロナ感染拡大という完全に予想外の事態が起きたため、2020年3月に実施予定であった2020年度新入生対象の数学補習授業とインパクト評価のためのアンケート調査を見送ることになった。また代表者が2020年5月から2021年度3月まで休業となった為、2020年度は2019年度新入生の第二回調査の準備をするに留まった。本格的なデータ分析については、一年分の調査のサンプル数では不十分なため、2020年3月に実施される調査のサンプル数と合わせて分析予定であったが、2021年3月まで追加の調査が実施できなかったため、分析は残念ながらあまり進められていない。上述の理由から、2021年度まで研究プロジェクトを延長する申請を行った。
Strategy for Future Research Activity	新型コロナウイルスや山﨑の休業の影響で2020年度・2021年度の新入生対象の介入・調査は実施できていない為、2021年度は2022年度新入生対象の介入・調査と2019年度新入生対象のフォローアップ調査を実施予定である。さらにデータ分析、論文執筆、学会発表も行いたい。具体的には以下のスケジュールで今後の研究を推進予定である。【2021年4月-2021年12月】2022年度新入生対象の数学補習授業の準備とアンケート調査の質問票作成、2019年度新入生（2021年度の3年生）対象のフォローアップアンケート調査の質問票作成、【2021年9月】2019年度新入生（2021年度3年生）対象のフォローアップアンケート調査の実施、【2021年10月-2022年2月】2019年度新入生（2021年度の3年生）対象の第一回アンケート調査（2019年3月実施）とフォローアップアンケート調査（2021年9月実施予定）に基づいたデータ分析、論文執筆、学会発表、【2022年3月】2022年度新入生対象の数学補習授業とインパクト評価のためのアンケート調査の実施、【2022年4月以降】（助成対象外だが）フォローアップアンケートの実施、2年分の本格的なデータ分析、学会発表、学術誌投稿用の論文執筆。2021年度以降も数学の補習授業は毎年実施される予定のため、できればさらに数年分アンケート調査を実施しサンプル数を増やし、より研究を深めたい。
Causes of Carryover	2020年5月から2021年3月まで代表者が休業したため、2019年度新入生対象のフォローアップ調査や2021年度新入生対象の第一回調査が実施できなった。よって2020年度に予定していた予算の大半が使用できず、次年度使用額が生じた。 2021年度には2022年度新入生対象の数学の補習授業・アンケート調査と2019年度新入生対象のフォローアップ調査を実施することを計画している。その際、アンケートの回答者(2022年度新入生約200人と2019年度新入生約200人）には図書カード1000円分を謝礼として渡す予定である。また残りの予算は、調査の準備や調査データ分析のためのリサーチアシスタントの雇用、オンラインアンケートツール使用料の支払い、必要なパソコン機材・備品や統計ソフトウエア、プリンターの購入に活用する予定である。