2018 Fiscal Year Annual Research Report
イソフラボンの新たな子宮内膜症治療薬としての分子基盤の確立
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18H05961
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高岡 宰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20826036)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / イソフラボン / エストロゲンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではダイゼインリッチイソフラボンアグリコン(DRIAs)の子宮内膜症に対する効果および作用機序の解析を行う。子宮内膜症はエストロゲンおよび炎症の相互作用で病巣の進展・維持がなされるので、エストロゲン依存性炎症疾患と考えられている。DRIAsはサプリメントで、イソフラボンの一種であるダイゼインが豊富に含まれており、副作用の報告なくホットフラッシュの症状を軽減するなど女性のヘルスケア領域で注目されている。イソフラボンはエストロゲン作用もしくは抗エストロゲン作用を持つとされているが、子宮内膜症に対しての効果は明らかではなかった。研究代表者は子宮内膜症においてDRIAsが細胞増殖を抑制することおよび抗炎症作用を持つことを明らかにした。本研究ではDRIAsの子宮内膜症に対する細胞増殖抑制効果および抗炎症作用の解析をさらに進め、ERbとの関連を明らかにすることで、新たな治療薬としての基盤を確立させる。 DRIAsは,代表的なイソフラボンアグリコンであるダイゼイン,ゲニステイン,グリシテインを7:1:2の割合で含有している。本研究ではDRIAsの子宮内膜症の細胞増殖抑制を確認した。次に単体イソフラボンで増殖抑制を検討したが、いずれも増殖抑制を認めなかった。この結果からDRIAsのイソフラボンアグリコンの成分構成の比率が子宮内膜症の治療として有効な可能性あると考えられる。さらに3つの主な構成成分であるイソフラボンアグリコンのアロステリックな相互作用としての結果が細胞増殖抑制や抗炎症作用を発揮していると示唆される。この点を重点的に研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DRIAsでは増殖抑制したが、イソフラボン単体ではいずれも増殖抑制を認めなかった。この結果からDRIAsのイソフラボンアグリコンの成分構成の比率が子宮内膜症の治療として有効な可能性あると考えられる。3つの主な構成成分であるイソフラボンアグリコンのアロステリックな相互作用としての結果が細胞増殖抑制や抗炎症作用を発揮していると示唆されるが、現在使用している単体のアグリコンは合成物であり,その生理活性は明確ではなく、合成されたアグリコンは天然大豆抽出物であるDRIAsより活性が弱い可能性がある。以上のことからDRIAsを構成しているアグリコン単体で細胞増殖抑制効果が出なかったと考えられる。またその組み合わせも無数にあり、この原因追及のために時間がかかっており、より自然に存在するイソフラボン等での検討が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では①DRIAsの子宮内膜症に対する細胞増殖抑制効果の検証、②抗炎症作用の機序の解明とエストロゲンレセプターおよびエストロゲン関連酵素との関連、を明らかにすることを目的とし、新たな子宮内膜症治療薬としての基盤を確立させる。 DRIAsの子宮内膜症に対する細胞増殖抑制効果の検証①DRIAsを構成するイソフラボンの構成比を変更して、その細胞増殖抑制効果をWST-8アッセイで評価し最も増殖抑制効果のあるイソフラボンの割合を解明する。イソフラボンの相乗効果が示唆されるが、最良の構成割合は明らかではない。②子宮内膜症増悪因子である病巣局所の高エストロゲン環境の改善効果③既存の子宮内膜症治療薬との併用効果を評価する。WST-8アッセイで評価する。 上記3点について重点的に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)