2019 Fiscal Year Annual Research Report
植物シグナル伝達ハブモジュールGSK3-BES1/BZR1の起源的役割の解析
Project/Area Number |
19K21189
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 朋之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (10827356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / ゼニゴケ / 発生 / 形態形成 / 植物進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞は、周囲の外環境や隣接する細胞等からのシグナルを受容し、それに応じた細胞内シグナル伝達経路を活性化することで環境変化への適応や正確かつ柔軟な形態形成を行なう。タンパク質リン酸化酵素GSK3ファミリーとBES1/BZR1転写因子ファミリーは植物ホルモンであるブラシノステロイドや維管束幹細胞維持に関わるCLEペプチドホルモンTDIFのシグナル伝達においてハブモジュールとして重要な役割を担っている。一方、このモジュールがブラシノステロイドや維管束形成にいつ関連付けられたのか、またその起源的な役割がどのようなものかはわかっていない。そこで本研究では、近年モデル植物として研究の基盤が構築されてきたタイ類ゼニゴケを用いてGSK3-BES1/BZR1モジュールの起源的な役割を解明を目指して研究を行なった。 ゼニゴケの簡便かつ高効率の形質転換法を利用し、CRISPR法によるMpGSK3機能欠損ゼニゴケやMpBES1過剰発現植物の作出を行なった。MpGSK3機能欠損体、MpBES1過剰発現植物は共に葉状体への分化が抑制され未分化細胞塊のような表現型を示した。さらにこれら変異体のRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行なったところ類似の遺伝子発現プロファイルを示したことから似た表現型であることが考えられる。また、BiFC法等によりMpGSK3とMpBES1がタンパク質間相互作用することも示唆された。これらの結果はゼニゴケにおいてもGSK3とBES1/BZR1がシグナリングモジュールを形成し、葉状体組織の細胞分化を負に制御していることを示唆している。さらに誘導型過剰発現体を作成し、詳細な観察から細胞分化への影響を調べている。加えて、基部陸上植物においてBES1/BZR1転写因子の機能が多様であり、植物進化に伴ってダイナミックに変遷していったことを示唆する結果を得た。
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[Presentation] BES/BZR 転写因子の競争的な関係が幹細胞維持の堅牢性を向上させる2020
Author(s)
古谷朋之, 齊藤真人, 内村悠, 野﨑翔平, 宮川拓也, 佐竹暁子, 島津舜治, 矢守航, 田之倉優, 福田裕穂, 近藤侑貴
Organizer
第61回日本植物生理学会年会
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