2018 Fiscal Year Annual Research Report
PK-PD analysis for aprepitant personalized dose adjustment to optimize individualized antiemetic therapy
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18H06108
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
勝部 友理恵 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (10827223)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 白金系抗がん薬による悪心・嘔吐 / PK/PD解析 / アプレピタント / サブスタンスP / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内線条体中ニューロキニン1 (NK1) 受容体拮抗薬であるアプレピタントは、高度催吐リスク薬物に分類される白金系抗がん薬による悪心・嘔吐 (CINV) に適応を有し、急性症状のみならず、遅発性症状に対しても制吐作用を示す。しかしながら、血漿中アプレピタント濃度が高い患者群ではCINV予防が100%であるのに対して、低い患者群では60%未満であることが報告されている。そこで本研究は、アプレピタントの動態特性に着目した個別化投与設計法の構築を最終到達目標と設定し、アプレピタントの薬物動態と薬理学的作用との関連解析とともに、NK1受容体アゴニストであるサブスタンスPの血中濃度がアプレピタントの効果不良予測因子となる可能性について明らかにすることを予定している。 平成30年度では、高速液体クロマトグラフィー (HPLC)/三連四重極型質量分析計(MS/MS)を用いた血漿中アプレピタント濃度の定量系を構築した。一方で、サブスタンスPは11個のアミノ酸から構成される直鎖ペプチドあり、血漿プロテアーゼにより採血直後より速やかに分解される。そこで、プロテアーゼ阻害剤を用いることで良好な血漿中サブスタンスP残存率を維持させ、LC-MS/MSを用いた迅速かつ簡便な定量系の構築を可能とした。 令和元年では、倫理審査委員会への申請並びに当初の予定通り症例集積後、アプレピタントの薬効発現に関連する因子 (解毒因子、受容体の遺伝子構造など) の影響について系統的解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、血漿中アプレピタント及びサブスタンスPの定量法の構築と当施設における臨床研究倫理審査委員会及びヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会へ審査申請を同時並行で行う予定であったが、上述の通りサブスタンスPの血漿中における安定性に関する課題解決に向けた検討の実施及びその過程においてサブスタンスP代謝物の血漿中濃度測定意義を見出したことから、これらの定量系の構築を喫緊の課題とした。さらに、助成金交付月である平成30年度9月より定量系の構築に着手し始めたことから、倫理審査委員会への申請が次年度に延期となったため当初の予定よりも研究計画が遅延するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、当初の計画より遅延したものの予定通り臨床研究及びヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会へ申請を行い、着実に症例を増やしていく予定である。症例集積後、血中アプレピタント濃度及びアプレピタントの薬物動態に関わる薬物代謝酵素の遺伝子多型 (CYP3A5*3, 6986 A>G) や細胞外排泄トランスポーター (ABCG2) などの遺伝子情報、並びに薬物間相互作用の観点から併用薬を含む患者背景因子の影響について検討する。
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