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2020 Fiscal Year Research-status Report

AR技術の発展に伴う藝術学の変容ーー藝術体験における虚構の位置付けの再考から

Research Project

Project/Area Number 19K21568
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

東口 豊  九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (70346740)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 上石 学  聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (70349166)
川瀬 智之  東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (90792119)
江本 紫織  九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (90827289)
Project Period (FY) 2019-06-28 – 2022-03-31
KeywordsAR / 5G / ヘッドマウンテッドディスプレイ / 空間コンピューティング
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題はARと藝術の比較を通して虚構性を内包した新しい現実性の理論の構築を模索し、その文化的・社会的・藝術学的意義を問おうとするものであるが、2019年度に各研究分担者が提示した基礎的な理論的枠組みを用いて、現在進行形で発展し続けているARの具体的事例をどのように分析できるかを試みた。
今年度の研究実績において特に注目したのは2つの観点である。一つ目は、ARカメラを通して得られた映像に観賞者が感じる虚構との距離感の3つの類型「観察型」「参入型」「創造型」の諸特徴が、ARの様々な利用法に用いられている点である。例えば、リアルタイム遠隔コミュニケーションをベースにして、バーチャルなキャラクターが観光施設をプロモーションするシステムは「参入型」の性格を大きく取り入れたものになっていると言える。
そして二つ目は、ARにおけるフレームの有り様の大きな変化の兆しである。これまでにもGoogle GlassやOculus Questのようなヘッドマウンテッドディスプレイやスマートグラスと呼ばれるものは存在していたが、AR体験の支持体となりうるデバイスは主にスマートフォンやタブレット端末であり、ARが現実と虚構を重ね合わせ今までにない新しい現実性へと体験を拡張させるとは言え、デバイスの画面サイズがAR体験の限界ともなっていた。しかし、通信環境などのインフラの向上によって、フレームの存在を感じさせないスタンドアローンのデバイスが登場し始めている。これは、VRやARを含めた現実と虚構の複合体験を更に拡張していく動きとして、今後注目すべき流れであると言えよう。
更に、プロジェクションマッピングを投影する仮想的な場を創出する新技術など、昨年議論したAR体験の理論が具体的にどのように展開されているのかを検証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

昨年から全世界に蔓延した新型コロナウイルスによるパンデミックが、当初の予想を遥かに超えて研究環境を直撃した。本来、2019年度に行った理論的基盤作りの後は、それを検証しつつ理論の修正を行うために、各研究分担者がそれぞれ研究の主題としている藝術ジャンルや研究の特性を活かしつつ、2020年度にはAR関連のイベント等への調査研究をメインにする予定だった。しかしながら、4月から5月と1月から3月にかけての緊急事態宣言、それに伴うイベントや関連する展覧会や演劇等の中止、本務校からの出張自粛要請などがあり、実際に調査に行けたのは2020年10月21日から23日に東京ビッグサイトで行われた、コンテンツ東京内の先端デジタルテクノロジー展のみであった。本研究で必須の研究調査としていたAR関連の調査が、社会的情勢のために殆ど出来なかったことが、2020年度の研究の進捗状況の遅れの最大の要因になってしまった。

Strategy for Future Research Activity

新型コロナウイルスのパンデミックの状況は、いまだに予断を許さない状況であり、そもそも研究調査を2020年と2021年度のメインの活動に据えていた本研究計画にとっては、計画の大幅な修正を考えざるを得ない状況になっている。パンデミックが収束するまでは研究調査旅行を諦めざるを得ないことから、特に藝術作品にAR等の技術が活用されている事例や、教育、観光、図書館や美術館等でのARの使用例などについては、それを紹介している文献を広く収集し、その事例を分析することで研究調査の代用としたい。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスのパンデミックによって、研究調査や研究会開催等で予定していた旅費を執行することが全く出来なかった。4月8日に研究会メンバー内でZoomによるミーティングを開催し、今後も研究調査や対面での研究会の開催が難しいと想定されることから、旅費を必要とする現地調査を断念し、ARによる様々な応用事例の収集と分析は主に文献を通して行う事にした。

Remarks

江本紫織「写真のリアリティ再考ーー写真の観賞における「現実」の性質と位置付けーー」(九州大学人文科学府博士論文、2020年12月提出、2021年3月承認)
『美学の事典』(丸善出版、2020年12月刊行)の各項目「美の無関心性・美への関心」(川瀬智之)、「文化産業ーーそれは芸術をいかに変質させたか」「交通と美学ーー移動手段ごとに異なる都市の相貌」(東口豊)

  • Research Products

    (2 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 都市の歴史的アイデンティティーと価値創生――プロジェクションマッピングの及ぼす効果――2021

    • Author(s)
      岡橋純子、上石学
    • Journal Title

      聖心女子大学論叢

      Volume: 137 Pages: -

    • Open Access
  • [Presentation] メルロ=ポンティからデュフレンヌへーー美学における感情の問題について2021

    • Author(s)
      川瀬智之
    • Organizer
      立命館大学人文科学研究所重点プロジェクト「間文化現象学と人間性の回復」
    • Invited

URL: 

Published: 2021-12-27  

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