2020 Fiscal Year Research-status Report
Rebuilding the philosophical concepts of imagination from the pathological perception of autistic spectrum disorder
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19K21612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野尻 英一 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30308233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三重野 清顕 東洋大学, 文学部, 教授 (70714533)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 構想力 / 哲学 / 精神病理学 / ヘーゲル / デリダ / ドゥルーズ / ラカン / 自閉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、年度内に申請時予定を超える四回の研究会を開催した(研究会の詳細は下記)。プロジェクトの主旨である哲学分野と精神病理学分野との連携および若手研究者間の連携がよりいっそう進み、研究会では活発な発表と議論が継続された。スターティング・メンバーに加えゲスト・メンバーの招聘も進んでおり、参加者は開始当初の7名から15名と倍増した。また今年度の特徴としては、第7回研究会で自治医科大学・高瀬堅吉教授(心理学)を招へいし、実験心理学分野における想像力および自閉症についての研究状況をご報告いただき議論を行なったことが挙げられる。人文系と行動科学系という異分野科学間における対話が行なわれた。さらに今年度は株式会社ミネルヴァ書房の社員一名にオブザーバー参加を開始していただき、成果物出版に向けての動きを始めている。さらに本プロジェクトの成果を生かした次期科研費プロジェクトへ向けた企画作りも進んでいる。研究データベース構築については専用機材および学生アルバイトによる体制を維持し、年度内に書籍50冊相当の資料をデータ化することができた。コロナ渦による緊急事態宣言等の制限によりアルバイト稼働を確保できない期間があり、昨年度と比較して作業ペースの低下があった。 ・第4回研究会(Zoom)2020年4月11日 辰己一輝「ジル・ドゥルーズの哲学における「健康」と「病」の問題系──60年代の著作を中心に」参加者10名 ・第5回研究会(Zoom)2020年7月5日 片倉悠輔「19世紀末アナーキズム成立期における構想力についての試論」参加者13名 ・第6回研究会(Zoom)2020年11月7日 三重野清顕「イェナ期フィヒテの理論哲学における構想力論の基本構造」参加者12名 ・第7回研究会(Zoom)2021年1月9日 高瀬堅吉「学習・記憶の神経基盤と発達障害」、野尻英一「哲学理論における認知、記憶、共感:from Kant to Nojiri」参加者15名
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの中心活動である「構想力と精神病理学」研究会については、当初予定を超える四回の開催を実現できた。コロナ渦の影響が大学にも及んでいるが、研究会活動に関してはZoomなどオンライン会議システムの導入により難なく開催することが出来ている。また懇親会などの機会は全面的に停止とせざるをえないが、人的ネットワークの形成は順調に進捗し、参加者の人数は倍増している。成果物の出版計画、次期科研費プロジェクトへ向けた動きも開始できており、こちらについては予定を上回る進捗があったと言える。 一方、コロナ渦の影響により緊急事態宣言の発令等により、大学の活動基準方針によって学生アルバイトによる作業を停止せざるをえない期間があった。大学により停止指示がない場合でも、学生個人の考えや家庭の方針に配慮しなくてはならない状況であり、こちらについては予定よりも作業時間が確保できなかった。 以上を総合すると、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
語学(英語、ドイツ語、フランス語)によって分かれてしまっている傾向がある日本の哲学・思想研究に風穴を空け、若手のつながりを作り、さらには他分野との連携にも開いていくのが本プロジェクトの主旨であるので、2021年度も研究会の開催を継続しつつ、活発な議論と人的ネットワークの形成に努めていきた い。特に新たなゲスト・メンバーの獲得によって連携領域を広げていくことと、プロジェクトの成果を目に見えるかたちにするために書籍出版に向けて、企画内容のブレーン・ストーミングを進める。2021年度は本プロジェクトの最終年度にあたるが、その締め括りとして12月に「構想力と精神病理学ワークショップ」を東京精神分析サークルおよび早稲田大学文学部と共催のイベントとして行なう予定である。また別の資金による計画であるが、大阪大学人間科学研究科未来共創センターにおいて「哲学の実験オープンプロジェクト」の稼働を開始するが(近日承認予定)、本プロジェクト終了後の発展的接続先としての準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は予定より多くの研究会を実施したがコロナ渦による緊急事態宣言等の影響により、すべての研究会がオンラインとなり、東西のメンバーが集まるための旅費が発生しなかった。旅費に充当を予定していた一部は、オンライン会議のための設備投資に用いた。またデータベース構築作業のための学生アルバイト雇用も、コロナ渦により実施が制限され、こちらの支出も抑えられた。 次年度は、年度後半にハイフレックス方式(オンラインと対面を併用)で、他組織と共催の大型のワークショップ企画を行なう。緊急事態宣言下でなければ感染対策を取ったうえで、海外からの招へいを含む旅費が生じるため、そちらに使用する予定である。また学生アルバイトもコロナ状況下で感染対策を取ったうえで実施するめどが立っているので、こちらも実施が進む予定である。
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Research Products
(27 results)