2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21615
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城 一裕 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80558122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾本 章 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00233619)
石川 琢也 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, 学芸普及課職員 (00793663)
河原 一彦 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20234099)
中上 淳二 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, YCAM InterLab課職員 (20793631)
伊藤 隆之 公益財団法人山口市文化振興財団, 山口情報芸術センター, YCAM InterLab課課長 (10793656)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 無響室 / 声 / 多元な音響空間 / メディア芸術 / 作品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、芸術と科学という二つの文化[スノー, 1964]の接点の一つとして、音響測定設備としての無響室を音を聴取する空間として捉え、その特有の音響空間内において、マイクロフォンやスピーカによる音の増幅や、コンサートホールのような残響の付加に頼らず直接的に音を聴取する体験を設計する。音と空間 に関わる芸術的および科学的な試みに対する歴史的な調査と、現代の作家との対話を踏まえ、“物体の振動としての音と、その空間、および、そこで起きる出来事との関わり合い[畠中, 2003]”、を作品として具現化する。作品の展示・演奏としての提示により、その芸術的な意義を確認すると共に、科学的な検証を通じ て技術的な発展への糸口を探る。芸術と科学の二つの側面から、音を聴取する、ということの意味を問い直すこの試みを通じて、それら二つの文化の接触から生み出される創造の可能性を検討する。 以上の目的を踏まえ、研究3年目となる本年は、研究2年目に実施した。A. 無響室における声に焦点をあて現代の作家との共同制作の結果を学術論文として取りまとめた他、無響室での実践に基づく劇場実験型のプロジェクトとして、B. 「多元な音響空間」の実現に向けた自動演奏楽器、入出力装置、および作曲・演奏法の開発に取り組んだ。あわせて、二つの文化の接点に関わる各種関連事例の調査を行うとともに、いくつかの音を聴取する体験の試作を実施した。これらの成果は、国内外での学会、学外での公開実験、並びに研究機関内で実施したコンサートにおいて一般に向けて公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度並びに次年度は、COVID-19の影響を多大に受けたため、当初計画していた研究の実施に困難が伴ったが、研究期間の延長を視野に入れて研究を進めた本年度は、無響室における実践にとどまらず、広く音を聴取する空間における共同制作を実施し、その成果を一般に公開することができたため、当該の進捗状況としている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響を踏まえた研究期間の延長により、作品の制作及び提示の手法を再検討し共同制作を進めると共に、関連事例の調査を通じて、さらなる知見の獲得に務め、研究期間全体の成果の取りまとめをはかる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響を踏まえて研究期間を延長するため。作品の制作及び提示の手法の再検討に基づく共同制作、関連事例の調査、成果の取りまとめを予定している。
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