2020 Fiscal Year Research-status Report
Muslim-Confucian intellectuals of the Cham and syncretism between Islam and Confucianism in Vietnam
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19K21648
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新江 利彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (60418671)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | チャム / チャンパー / ベトナム / イスラーム / 儒敎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ベトナム漢文とチャム文による儒教とイスラームにまたがる研究者ネットワークと研究環境の構築である。2020年度においては、3回の国内調査を行い(11/13-15, 11/16-21, 12/08-12)、日本国内所蔵の漢文、アラビア文資料と日本語・英語による先行研究論文を精査し、ベトナムの研究者たちと情報を共有した。また、4つの原資料-①19世紀チャム人のラマダーン明け説教文(アラビア語)、②19世紀チャムのイスラーム及びアラビア語入門書(アラビア語)、③アーリヤー・ポーチョン(1822年に退位したチャム王の記録、チャム文)、④サカライ・ポークック(19世紀チャム人によるイスラーム的な創世記断片、チャム文)のローマ字転写と翻訳を行った。「19世紀チャム人のラマダーン明け説教文」は、末尾に祖先救済祈願文を含む。ムスリムの祖先であれば救済祈願は不要なため、この説教文作者の近い祖先は非ムスリムであったこと、また作者は東南アジアで優勢なスンニー派シャーフィイー両法学派においては極めて特殊な「異教徒祖先の救済を認める神学説」を奉じることが明らかになった。「19世紀チャムのイスラーム及びアラビア語入門書」の内容は南タイなどで出版されているイスラーム入門書(ムコッダマ)に近く、チャムの伝統的なイスラーム教育がシャーフィイー法学派の国々と共通することが明らかになった。「サカライ・ポークック」はイスラーム神話を扱うにもかかわらず、世界・宇宙の最初の存在を中国哲学の用語・極(クック、太極および無極)で示し、チャムのイスラーム理解において中国哲学の援用があったことを示唆した。 これらの作業により、研究環境の整備を進めることができた。また、上記資料の精読の成果物として、論文2本、口頭発表1本を公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 2020年度は新型コロナの影響により海外調査はすべて中止となったものの、国立国会図書館や東洋文庫など国内に蓄積された膨大な漢文・アラビア文史資料およびその先行研究論文の精査と、ベトナム側研究者のサポートによる村落文書のローマ字転写および翻訳を経て、おおむね順調に計画を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も新型コロナの影響により、海外調査の実施が極めて困難になると予想される。そのため、2021年度においても、2020年度と同様に、電子メールやSNS、ホームページを使用した日本・中国・ベトナムなどのパートナーとの連携を進める。また、2021年2月より、ベトナム・カンボジアのチャム村落支援NGOの協力を得て、ムスリム青年とオンライン勉強会を立ち上げた。このようなオンライン勉強会、学会・研究集会における発信と意見交換・情報共有、過去の収集資料のデジタル化により、研究者ネットワークの維持と研究環境の構築をさらに進める。
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Research Products
(3 results)