2019 Fiscal Year Research-status Report
レーザ誘起プラズマ分光法による水素の3次元定量マッピング法の確立
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19K22038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今宿 晋 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40606620)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | レーザー誘起プラズマ分光法 / 水素 / 定量分析 / 水素吸蔵合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレーザ誘起プラズマ分光法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy: LIBS)によって簡便かつ迅速に材料中の水素をマイクロメータスケールで3次元的に定量表示する手法の確立を目指す。本年度は、LIBSによる水素の定量法を確立するために重要な要素および水素分析の精度に関して調査した。 混合比を変化させたMgとMgH2の圧粉体を水素分析の標準試料(0, 0.1, 0.2, 0.5, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 7.6 mass%)として、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン)を導入して、LIBS測定を行った。不活性ガスの種類と測定圧力を変化させたところ、アルゴン雰囲気よりヘリウム雰囲気のほうが発光強度が大きかった。さらに、減圧(3000 Pa)ヘリウム雰囲気で測定を行うと、水素由来の656.28 nmのピーク強度は水素濃度に対して直線的な増加を示した。アルゴン雰囲気よりヘリウム雰囲気のほうが発光強度が大きい原因は、それぞれの準安定状態のエネルギーの違いによるものであった。この結果、LIBS測定によって、0.2~7.6 mass%の範囲で水素を定量できることがわかった。また、この定量測定の際、測定試料および配管や試料室内に吸着している水分の除去が重要であることもわかった。 この測定法を用いて、熱処理によって水素を一部除去したMgH2の定量を行ったところ、ガス分析による定量とほぼ同じ水素濃度が得られ、本手法の水素定量の精度の高さが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LIBSによる水素の定量分析法を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究で得られた知見を基に、水素の2次元および3次元定量分析法を確立させる。ニッケル水素蓄電池の電極を測定対象として、充電速度や充電回数を変化させた電極について、水素分布を測定する。その結果、充電方法によって、水素分布の違いを検出できることを示す。
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Causes of Carryover |
測定機器の購入額が当初の予定より安く済ませることができたため。また、新型コロナウィルスの影響で出張が取りやめになったため。 次年度は、LIBS測定機器の雰囲気制御が可能な試料室を取り付けるための、機器の購入を検討している。
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