2020 Fiscal Year Annual Research Report
A method for structure determination of hydrogen on surfaces using electron diffraction
Project/Area Number |
19K22134
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
深谷 有喜 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40370465)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 電子回折 / 表面 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、反射高速電子回折(RHEED)を用いて物質表面上の水素の原子配置を実験的に決定することを目的としている。本年度は、開発した電子レンズシステムの動作試験及び水素吸着表面の高精度原子配置決定に向けた予備実験を開始した。 始めに、電子レンズシステム専用の超高真空チャンバーを製作した。本超高真空チャンバーは、開発した電子レンズのワーキングディスタンスを考慮した設計となっている。電子レンズの導入により、試料の可動範囲が制限されたが、試料表面が水平方向を向くように既存のマニピュレーターを改造することにより、この不具合を解消した。さらに、原子状水素生成のためのクラッキングシステムを構築し、超高真空チャンバーに設置した。 現在、標準試料としてSi(111)-7×7表面を用い、極低視射角領域における高分解能ロッキング曲線を測定するための各レンズパラメーターの調整を実施している。これと並行して、参考データとなる、電子レンズシステムなしの通常のロッキング曲線の測定を実施した。電子レンズの各パラメーターの調整終了後、Si(001)表面上の水素原子の位置決定に着手する。始めに、室温においてSi(001)-2×1清浄表面上に水素原子を飽和吸着させ、電子レンズシステムを用いて、極低視射角領域に限定した高分解能ロッキング曲線を測定する。比較のため、水素吸着前のSi(001)-2×1清浄表面からの高分解能ロッキング曲線も測定する。その後、動力学的回折理論に基づいた強度解析を実施し、表面Si及び最表面水素の原子配置を高精度に決定する。第一原理計算により報告されている原子配置との比較から、本研究で開発した電子レンズシステムの構築を完了する。最終的には、本手法により、水素吸着した新規二次元物質(シリセンとゲルマネン)の構造物性の解明につなげる。
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Research Products
(4 results)