2019 Fiscal Year Research-status Report
Physiological role of bifidus flora formation in breast-fed infant guts
Project/Area Number |
19K22277
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 高嶺 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70346104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 紀彦 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40724612)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | ビフィズス菌 / 母乳オリゴ糖 / 芳香族乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳児期においてはビフィズス菌優勢な腸内細菌叢(ビフィズスフローラ)が形成されることが知られているが、本研究においては、ビフィズスフローラ形成メカニズムの解明およびその生理的意義の解明に取り組んだ。すなわち、ビフィズス菌の遺伝子機能および酵素機能解析を行うと共に、母子ペアより人乳・乳児糞便を回収し菌叢解析や成分解析を行った。その結果、人乳に含まれるオリゴ糖(母乳オリゴ糖)のうち2'-フコシルラクトース・3-フコシルラクトース・ジフコシルラクトース・ラクト-N-フコペンタオースIの取り込みに関わるビフィズス菌トランスポーターがビフィズスフローラ形成に深く関与していることが明らかとなった。母乳オリゴ糖がビフィズスフローラ形成を促しているin vivoのデータを初めて示した成果として高く評価された。次に、乳児糞便のメタボローム解析を行った結果、ビフィズスフローラ形成が芳香族乳酸生産と高く正相関していることが明らかとなった。これらの芳香族乳酸は、AhRやGPRリガンドとして知られており、宿主の免疫調節や代謝調節に関わることが知られている。ビフィズス菌ゲノムのin siloco解析を行って候補遺伝子を抽出し、その欠損株を作製したところ、芳香族乳酸の産生が検出されなくなった。すなわち、母乳オリゴ糖を利用して乳児腸管内で増殖したビフィズス菌は、人乳に含まれる芳香族アミノ酸を芳香族乳酸に変換することで、宿主の免疫発達や代謝調節に関与していることが強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デンマーク工科大との共同研究により詳細なメタボローム解析が可能となったため、予想以上に研究が進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
芳香族乳酸のみならず、他の人乳成分由来の化合物の同定に取り組む。特に脂質変換物に着目する予定である。その後、上記と同様に乳児菌叢との相関解析を行うと共に、変換を担う遺伝子・酵素を同定する。これらの遺伝子・酵素の機能解析を行うと共に、破壊株を作製し、動物実験により、生理的意義を解明する。
|
Causes of Carryover |
2019年度中に掲載を目指していた論文が受理されず、2020年度に持ち越されたため、掲載料20万円程度の差額が生じた。また2019年3月に予定されていたシンポジウム開催が延期となったため、旅費7万円程度の差額が生じた。 論文については改訂中であり、2020年度内の掲載を目指している。また延期となったシンポジウムも開催時期を検討している。
|
Research Products
(7 results)