2019 Fiscal Year Research-status Report
生体分子を用いた黄鉄鉱ナノ粒子の合成法の開発と応用
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19K22345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10647655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 庸平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00359168)
アーサン ナズムル 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (00422345)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | パイライト / 黄鉄鉱 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄鉄鉱(パイライト)は毒性が無く、鉄と硫黄という元素組成から資源としても豊富に存在することから、次世代の太陽光発電や蓄電池の材料として大きく期待されている。しかしながらパイライトのナノ粒子は合成が困難で、合成しても安定性が悪いことから、工業的に利用されてこなかった。申請者は黄鉄鉱のナノ粒子を生体で合成する深海の巻貝であるスケーリ―フットに着目し、黄鉄鉱ナノ粒子の合成に関与するタンパク質に着目した。スケーリ―フットの貝殻を塩酸により脱灰し、硫化鉄層と炭酸カルシウム層に分離し、硫化鉄層のみを抽出した。硫化鉄層から、さらに変性剤を用いてタンパク質を抽出したところ、パイライトのナノ粒子がバラバラになったことから、変性剤の成分にパイライトナノ粒子を分散させる成分が含まれていると考えられた。その成分に含まれるタンパク質を分離し、配列の同定を行った。この配列を大腸菌発現用のベクターに導入し、大腸菌に形質転換することで、スケーリ―フットのタンパク質の発現を試みた。発現したタンパク質を大腸菌より抽出、クロマトグラフィーにより精製した。このタンパク質をパイライト合成系に添加した。パイライト合成系は多くの手法が報告されているが、タンパク質を用いる方法のため、水溶液で100度以下の系を改良することとした。このように開発したパイライト合成系に精製したスケーリ―フットのタンパク質を添加し、パイライトのナノ粒子の合成を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌により目的タンパク質の発現に成功し、それをクロマトグラフィーにより精製を行った。精製したタンパク質をパイライトを合成する系に添加したところ、パイライトナノ粒子の合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
組み換え体のタンパク質などを用いて、実際のタンパク質のどの部分がパイライトナノ粒子の形成に重要か、構造機能相関の研究を進めていく。また、より効率よく大量にナノ粒子を合成するために、濃度や時間、温度などの条件の最適化を進めていく。
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Causes of Carryover |
タンパク質の発現検討に時間がかかり、本格的にパイライトナノ粒子形成の条件検討を行うのが少し遅れてしまった。しかし発現には成功して、その活性の兆候も見られていた。そのため、初年度の予算を二年目に繰り越す必要があると判断した。
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Research Products
(4 results)