2019 Fiscal Year Research-status Report
クライオ電子顕微鏡を用いた光化学系II複合体の反応中間体の構造解析
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19K22396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋田 総理 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (50751418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 直幸 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (00634677)
加藤 公児 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (30452428)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、クライオ電子顕微鏡の単粒子構造解析法を用いて、光合成において水をプロトン、電子、酸素分子へと分解する光化学系II (PSII)の反応中間体の構造を解明する事である。PSII試料へのレーザー照射と同時にサンプルを凍結することで反応中間体を捕捉し、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析法でPSII反応中間体の構造を解析する。現在、時分割構造解析はSACLAなどの自由電子レーザーを用いた方法が主流であるが、施設の使用時間が限られている事、タンパク質を大量に必要とする事、結晶化が必要である事が問題点として挙げられる。少量の試料で結晶化の必要がないクライオ電顕構造解析法はPSIIの中間体構造の解明に適していると考える。クライオ電子顕微鏡と時分割技術を融合した研究は世界的にも初の試みであり、今後の時分割解析のさきがけになると考えている。 既に、好熱性シアノバクテリアの培養と菌体からのPSII精製条件は確立しており、その方法を基に、良質な結晶ができる程の高純度、高酸素発生活性を有するPSIIが得られた。このPSIIサンプルを用いて、クライオグリッド作成装置Vitrobotでグリッドを作成した。PSIIの濃度やbuffer条件などを、クライオ電子顕微鏡で観察しながら最適化し、氷が薄く、粒子がイメージの中に満遍なく観察できるサンプルグリッドの作成条件を確立した。データ収集は、クライオ電子顕微鏡 FEI Titan Kriosを用いて行なった。PSIIのデータを56K, 75K, 96Kの倍率でそれぞれ収集した。データの解析はRelion3.0を用いて行なった。得られたマップの分解能を比較し、最適な条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PSIIのデータを56K, 75K, 96Kの倍率で、それぞれ2,596枚, 2,084枚, 4,237枚のイメージを収集した。イメージから、それぞれ、239,388粒子, 90,897粒子, 203,912粒子をピックアップして、Relion3.0で解析を行なった。その結果、分解能は56K, 75K, 96Kのデータからそれぞれ、2.34, 2.26, 2.26オングストロームのマップが得られた。分解能は75Kで頭打ちとなっており、96Kでは必要なイメージ数が多くなるため、今後は75Kでのデータ収集を行なうことにした。現在、モデルの構築と精密化を進めている。グリッドの作成条件、データの収集条件についてはほぼ確立した。また、予定をしていた2.5オングストロームを超えるマップを得ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた2.5オングストローム分解能を超える、2.26オングストローム分解能でマップを得ることができた。今後は、このマップにモデルを当てはめ、モデルの修正と精密化を進める。得られたモデルと、結晶構造のモデルと比較する。更に、クライオグリッド作成装置とYAGレーザーを同期させ、グリッド上にのせたPSII試料へレーザー照射する機構を構築する。それによって、PSIIの反応中間体の構造を解明する。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた出張の中止に伴い、次年度使用が生じた。次年度は出張の自粛のため、グリッドなどの消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Structure basis for the adaptation and function of chlorophyll f in photosystem I.2020
Author(s)
Kato K., Shinoda T., Nagao R., Akimoto S., Suzuki T., Dohmae N., Chen M., Allakhverdiev SI., Shen J.-R., Akita F., Miyazaki N., Tomo T.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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