2019 Fiscal Year Research-status Report
Inter-cellular RNA transfer-driven reprogramming
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19K22416
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
武部 貴則 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (20612625)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | mRNA / リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々がごく最近発見した「異なる細胞種間の直接接触を介したmRNAの伝搬機構」の解明を通じて、細胞の運命を転換するための全く新しい細胞操作技術を構築することを目的としている。すなわち、目的の特徴を有した細胞に、リプログラミングしたい細胞を混ぜ合わせることにより、外来遺伝子の導入などの従来手法に依存しない細胞運命の転換手法の開発を試みる。 本年度は、まず、ヒトiPS細胞とマウスES細胞の共培養条件を至適化するために、ヒトiPS細胞の生存率・未分化状態の維持率、および共培養後のリプログラミング効率を指標に、両細胞の混合比率や培地組成の検討を行い、再現性の高い共培養法を確立することに成功した。さらに、細胞間の直接接触領域を観察するためのサンプルプロセシング条件を最適化し、蛍光顕微鏡および電子顕微鏡を用いた解析を通じて、RNAの伝搬に重要な微細構造体の存在を明らかにした。また、両細胞を共培養した後、FACSによって分取したヒトiPS細胞を対象としたRNA-seqによって、マウス特異的なリードの検出を行い、転送されやすいRNAとされにくいRNAを特定することに成功した。特定したRNAの転送動態をイメージングするために、内在性の遺伝子座にタグを挿入した複数のレポーターマウスES細胞の導入、および特異的プローブの設計・合成を通じて、ヒトiPS細胞とマウスES細胞の間で起こるRNA転送を定量的にイメージングすることが可能なアッセイ系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において重要となる、共培養条件・直接接触領域の観察手法・RNA転送のイメージングを最適化するとともに、RNA-seq解析によるRNA転送の網羅的な解析にも成功しているため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はRNA転送に基づくヒトiPS細胞のリプログラミング機構を明らかにすることを目指して、ヒトiPS細胞側で起こるエピジェネティックな変化をATAC-seqにより解析する共に、シングルセルRNA-seq解析を用いて単一細胞レベルでのリプログラミング過程の時間依存的トランスクリプトームの変化とその基盤となる分子機構を詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
イメージング手法の至適化について、当初予定していた期間よりも短期間で完了することができた結果、使用する消耗品が少なく抑えられたため、次年度使用額が生じた。 次年度、シーケンス解析を加速するために使用する計画である。
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Research Products
(27 results)