2019 Fiscal Year Research-status Report
ヘビの第六感、赤外線受容はどのようにして獲得されたのか?
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19K22461
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
土岐田 昌和 東邦大学, 理学部, 講師 (80422921)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ヘビ / 赤外線受容 / ピット器官 / 進化 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、(1)マムシ亜科のヘビにおける赤外線受容神経回路形成の記述、および(2)比較トランスクリプトーム解析による赤外線受容神経回路形成の責任遺伝子探索、の二つの調査を中心に進める計画であった。調査(1)に関しては、温度感受性チャネルとして知られるTRPA1タンパク質がマムシ亜科のニホンマムシの赤外線受容神経回路を構成するIR-ニューロンに分布することを免疫染色により確認した。同様に、哺乳類であるチスイコウモリの赤外線受容に関与しているとされるTRPV1タンパク質がヘビ胚の脳でどのように局在しているのかについても免疫染色を用いて調べる計画であったが、2019年度は野生のヘビの産卵状況が芳しくなかったこともあり、解析に供する胚組織を十分な数確保することができなかったため、解析を完了することができなかった。ニホンマムシよりTRPA1とTRPV1の遺伝子(mRNA)を単離済みであり、その発現パターンをin situハイブリダイゼーションにより調べる予定であったが、プロトコールの確立に当初の予定よりも時間を要したうえ、新型コロナウィルスの感染拡大により研究活動に遅延が生じたため、データを得ることができなかった。調査(2)に関しては、赤外線受容能を持つニホンマムシとそれを持たないナミヘビ科のシマヘビおよびヤマカガシの胚期の脳のトランスクリプトームを比較し、赤外線受容神経回路形成における責任遺伝子の候補を特定する計画であったが、解析サンプルの不足や新型コロナウィルスの感染拡大による研究活動遅延により、データを得ることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査(1)マムシ亜科のヘビにおける赤外線受容神経回路形成の記述では、TRPA1遺伝子のニホンマムシ胚とその比較種の胚における発現パターンをin situハイブリダイゼーションにより調べる予定であったが、プロトコールの確立に当初の予定よりも時間を要したうえ、新型コロナウィルスの感染拡大により研究活動に遅延が生じたため、データを得ることができなかった。調査(2)比較トランスクリプトーム解析による赤外線受容神経回路形成の責任遺伝子探索では、赤外線受容能を持つニホンマムシとそれを持たないナミヘビ科のシマヘビおよびヤマカガシの胚期の脳のトランスクリプトームを比較し、赤外線受容神経回路形成における責任遺伝子の候補を特定する計画であったが、こちらについても、新型コロナウィルスの感染拡大により予想外の研究活動の遅延が生じたため、結果を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は解析に供するヘビ胚を十分数収集することができなかったため、2020年度は解析に供する十分な数の胚標本を確保するよう努める。また、ヘビ胚組織に対するin situハイブリダイゼーションにおいて、高い質の実験結果が得られていないため、RNAプローブの調整や胚の固定方法を検討するなど早急にプロトコールを確立し、データを取得する。
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Causes of Carryover |
解析サンプルの不足や新型コロナウィルス感染拡大による研究の遅延などにより、2019年度中に予定していた実験・解析の一部を2020年度以降に実施する必要性が生じたため、次年度使用額が生じた。この度、2019年度科研費から繰越しを行った次年度使用額は2020年度分科研費と合わせて、当初2019年度に実施する予定であった実験・解析ならびに2020年度に実施予定である実験・解析の遂行に必要な備品、消耗品を整えるための経費として使用させていただく計画である。
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Research Products
(2 results)