2019 Fiscal Year Research-status Report
スパコンを利用したビッグデータ解析に基づくヘルペスウイルス翻訳後修飾の包括的解析
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19K22524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | スパコン / シミュレーション / 蛋白質翻訳後修飾 / HSV |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)は、80種を超える遺伝子をコードし、その中にはウイルス特異酵素が複数含まれている。よってHSV因子は宿主およびHSV特異酵素によって多様な翻訳後修飾を受け、それぞれの機能を制御し、効率的なウイルス増殖や病原性発現に寄与していると考えられる。本研究は、MDシミュレーションを用いて機能制御に寄与する翻訳後修飾を網羅的に同定し、その機能制御機構を解明することを目的としている。 本年度は、複数のHSV因子についてMDシミュレーションを実施し、それらの機能制御を担う可能性がある翻訳後修飾候補を複数同定した。それらについて各変異組換えHSVを作製し、感染細胞内での各HSV因子の機能を評価した。その結果、実際にHSV感染細胞内で候補となった翻訳後修飾が各HSV因子の機能制御を担うことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高感度質量分析計によりHSV因子の翻訳後修飾を複数同定した。その中からMDシミュレーションによって機能制御を担う可能性がある翻訳後修飾候補を同定した。候補となった翻訳後修飾部位のアミノ酸に変異を導入した組換えHSVを作製した。同定した翻訳後修飾が各HSV因子の機能制御に寄与するかを評価するために、それらを培養細胞に感染させた。その結果、複数の翻訳後修飾において各HSV因子の機能制御を担うことが示唆された。またそれらの翻訳後修飾はマウスを用いた生体レベルの解析においてもHSVのウイルス増殖や病原性発現に寄与することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定した、HSV因子の機能制御を担う翻訳後修飾について、その修飾を担う酵素の同定を試みる。また、本年度に引き続き様々な翻訳後修飾の同定およびそれらが各HSV因子の機能制御を担うかについて、MDシミュレーションおよび組換えウイルス作製による機能解析を実施する。
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Causes of Carryover |
今年度は蓄積済みのHSV感染細胞由来の膨大な質量情報を中心とした解析によってHSV因子の機能制御を担う翻訳後修飾を複数同定することに成功しつつある。一方で、これまで未実施であるその他の翻訳後修飾を同定するための高感度質量解析については、実施施設において機器の改良や技術的な改変が進んでおり、次年度のほうがより高感度に翻訳後修飾を同定することが可能であることが期待されたため、本年度実施予定であった解析を次年度に実施する予定に変更したことから次年度使用額が生じた。
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Research Products
(8 results)