2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K22577
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷本 拓 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70714955)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 条件付け |
Outline of Annual Research Achievements |
時間の認知は、我々の生活の中で重要な脳機能であり、時間を生成する機構を理解することは、脳科学の課題の一つである。しかし、光や匂いなどの感覚刺激の知覚と異なり、時間を「受容」する仕組みも明確でなく、時間認知を司る神経回路に関しては不明な点が多い。これを明らかにするためには、神経細胞の操作と時間認知行動における結果の因果関係から、神経回路の動作原理を導くことが重要である。そこで本研究は、シンプルな神経回路を持つショウジョウバエを用いて、電気ショック罰による時間条件付けのモデルを確立する。課題遂行中の標的神経細胞の機能を自由行動下で操作し、秒単位の時間認識(計時)を行動学的に解析し、それを制御する神経回路の理解を目指す。 自由行動下におけるショウジョウバエの電気刺激に対する応答は、ジャンプ、横転、逃避など多岐にわたり、その多くが非常に高速であるため、行動変化の定量が困難であった。そこで研究代表者らは、東北大学情報科学研究科の橋本浩一教授との共同研究で新たなマシンビジョンアルゴリズムを開発し、ジャンプや横転など、8つの異なる行動状態を自動認識することに成功した。この行動検出系を用いて、電気ショック提示に関する複数のパラメーターを変化させ、時間条件付けに重要な因子を模索した。具体的には、提示間隔、試行回数を初めとして、電気刺激の強さ、刺激一回あたりの提示時間などを検討し、実験条件の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標をおおむね達成し、着実に研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、計時回路の「入り口」である電気ショック刺激の入力を伝えるドーパミン神経を単一細胞レベルで同定し、その神経メカニズムを明らかにするための足掛かりを作る。具体的には、電気ショック罰の伝達に関わる全てのドーパミン神経細胞種に対する光遺伝学的活動抑制を試みる。また、これまでの成果を取りまとめ、国際学術誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度は、電気ショック罰の伝達に関わるドーパミン神経細胞種の同定とその光遺伝学的活動抑制を行う予定である。本研究の完遂には、光遺伝学的活動抑制の実験装置セットアップ及び高効率の自動画像解析システムの構築が不可欠である。 今年度に得られたデータを踏まえて実験装置をデザインした結果、当初の計画よりも大規模かつ複雑な機構が必要であることが判明したため、今年度に計上していた経費を次年度に繰り越す。繰越金は、行動実験装置一式の構築及び維持のための物件費と工賃に使用する。
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Research Products
(1 results)