2019 Fiscal Year Research-status Report
トリプレットリピート病のリピート短縮による根源的治療法の開発
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19K22597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 雅之 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (60630233)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | トリプレットリピート / ハンチントン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子上の3塩基繰り返し配列の異常伸長が原因のトリプレットリピート病には、CAGリピートによるハンチントン病(HD)や、CTGリピートによる筋強直性ジストロフィーなどがあり、いずれもが根本的治療法のない進行性の難病である。これらの疾患では、異常伸長リピートから生じるmRNAや蛋白が障害を引き起こしており、負荷の原因となるリピート長が長いほど、重症となる傾向がある。またもう一つの特徴として、これら疾患の多くではリピート長が一定ではなく、年齢とともに伸長して症状の進行に寄与する。本研究では、こうした異常伸長リピートを短縮誘導して正常化するというこれまで試みられたことのない革新的アプローチで、トリプレットリピート病の根本的治療法開発を目指している。 当該年度は、HD患者由来細胞およびHDモデルマウス脳線条体組織への直接投与で異常伸長CAGリピート短縮効果を示したリピート結合分子について、トリプレットリピート病疾患モデルマウスへ脳室内持続注入カテーテル留置による髄液腔内持続投与を行い、脳各組織でのリピート短縮効果、運動機能改善効果、生存期間延長効果を検証した。この結果、より臨床での投与形態に近い髄液腔内投与でも、リピート結合分子による異常伸長リピート短縮効果、運動機能改善効果、生存期間延長効果が確認され、治療薬シーズの臨床応用への展望が拓けた。また、正常長リピートへのオフターゲット効果もsmall pool PCRにより確認したが、リピート結合分子による正常リピート長の変動はみられず、その安全性も確認された。さらに、リピート結合分子によるリピート短縮機構を解明するため、研究代表者らがすでに確立していたリピート病細胞モデルHT1080-CAG/CTG800Rについて、リピート長変動因子を個別に長期間knock downすることができるよう最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リード化合物の脳室内持続注入カテーテル留置による髄液腔内持続投与において技術的な困難が予想されたが、熟練者からの指導をうけスムーズな技術移転に成功し、予定どおり動物実験の遂行が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
リピート結合化合物を投与したトリプレットリピート病モデルマウス脳組織での病理学的・生化学的解析を行うとともに、オフターゲット効果について次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を行う。また、リピート短縮機構の解明へ向け、モデル細胞を用いた解析を進める。
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Causes of Carryover |
平成31年度はすでに保有する研究機器、試薬・消耗品、実験動物を用いたため、次年度以降に化合物合成費用・病理学的解析・生化学的解析・分子生物学的解析・次世代シークエンサー解析などの研究経費として充当する。
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Research Products
(20 results)