2019 Fiscal Year Research-status Report
「親の恐怖記憶の子への遺伝メカニズム解明」による虐待連鎖の阻止
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19K22766
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
蔦島 譲治 宮崎大学, 医学部, 研究員 (20771257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 考悟 宮崎大学, 医学部, 教授 (40283767)
内田 琢 宮崎大学, 医学部, 助教 (60464137)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / 記憶の遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
親の恐怖記憶が子供へ遺伝するメカニズムを解明するため、実験動物にはマウスを使用して、恐怖記憶実験を行う。具体的には、音と電気刺激による恐怖条件付けした親マウスを交配させ、誕生した仔マウスには電機刺激を与えず、ブザー音のみ聞かせるだけで、恐怖反応としてのFreezingを示す場合がある。これは、親の受けた「恐怖刺激」の体験が仔に遺伝したことを示唆する。そして、親の恐怖刺激を受ける時期が幼児期(4週齢)と成人期(8週齢)によって、恐怖反応Freezingを統計学的に認められるかどうかを検証する。 Ⅰ.親が4週齢時に恐怖刺激を受けた場合(4週齢マウス) 仔のFreezing数値:雌3匹合計109秒(平均36.3±9.8秒) Ⅱ.親が8週齢時に恐怖刺激を受けた場合(8週齢マウス) 仔のFreezing数値:雌2匹合計7秒 (平均3.5±2.5秒) 結果;Freezing数値は親が4週齢時に恐怖刺激を受けた場合の方が、生まれてきた仔のFreezing数値が高いことが認められる。それは、親が幼児期に恐怖刺激を受けたほうが成人期に恐怖刺激を受けるよりも、生まれてくる仔には影響が大きくなることを示している。人間にあてはめれば、母親自身が幼児期に虐待(恐怖刺激)を受けた方が成人期に受けるよりも、生まれてくる子供に対する影響が大きいことを示唆している。このことは、母親の虐待問題を取り上げる上での大きな課題として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に推移しているが、遺伝子現象解明にまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、「恐怖刺激実験」のマウス個体数を増やすと同時に、親マウスの受けた「恐怖刺激」がどのように仔マウスへと伝わるのかを解明するため、遺伝子現象及びエビジェニクス解析へと繋いでいきたい。
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Causes of Carryover |
マウスの行動実験に時間がかかった為、次年度使用額が生じた。
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