2019 Fiscal Year Research-status Report
アニサキス駆虫薬の探索とDDS創製:魚生食文化継承のため先人の研究挫折を超克する
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19K22778
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
丁野 純男 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (90347790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸上 紘平 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (20582357)
板垣 史郎 札幌医科大学, その他部局等, 准教授 (00360925)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | アニサキス / 駆虫 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
アニサキスの体表面は、疎水性のクチクラ構造からなる皮膜で覆われているため、薬物が透過しにくく、アニサキスの体内には薬物がほとんど取り込まれない。この防御機構が駆虫薬の探索・開発を困難にしている最大の理由である。そのため、本研究では、DDS技術を駆使して駆虫候補薬物をアニサキスの体内に送り込み、駆虫効果の最適化を図る戦略を掲げている。2019年度は、薬物がアニサキス体内に取り込まれた際に発揮される駆虫効果を評価するため準備として、ホッケやマスなどの魚体から生きたアニサキスを採取し、その運動性や生存日数などを確認した。また、アニサキスの輪切り薄切切片の観察により、薬物のクチクラ構造透過性の評価が可能であることを確認した。次なる展開としては、駆虫薬の候補薬物をアニサキス体内に強制的に取り込ませ、クチクラ構造を突破した際に発揮される駆虫効果を評価する。すなわち、超音波照射による物理的な薬物透過促進法であるソノフォレシス法などを用いて、アニサキスの体内に候補薬物を強制的に取り込ませ、そのときの死滅速度を指標として駆虫効果を評価する。さらに、高い駆虫効果が得られた候補薬物に対し、アニサキス体表面の防御機構を突破しやすくする工夫を施すとともに、その薬物を胃壁表面に付着・滞留させるという2つの戦略からなるDDSを設計・作製する。具体的には、胃粘膜付着保護作用を有する水溶性高分子ゲルの中に、薬物とクチクラ構造分解酵素を配合し、アニサキス体表面の防御機構突破性と胃壁表面での付着滞留性を付与したDDSを作製する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策により、2020年2月以降の研究活動が停止したため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症対策に伴う研究活動の停止が解除された際には、速やかに実験等に着手する準備が整っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、2020年2月以降の研究活動が停止し、次年度使用額が生じた。2020年度は、これと2020年度交付金を用い、2020年2月以降に予定していた2019年度分の研究、および2020年度に予定している研究を遂行する。
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