2019 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性(AMR)による疾病負荷推計と抗菌薬適正使用の経済的有効性に関する検討
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19K22781
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤沢 学 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80565135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | DPC / JANIS / 薬剤耐性 / 感染症対策 / 医療費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、診療報酬請求データDPCと薬剤感受性検査データJANISを突合して、医療機関における感染対策実施と耐性菌発現による医療費増加の関連性について評価することで、薬剤耐性による疾病負荷の推計と感染症対策の費用対効果について検討している。
初年度は、まずはDPC並びにJANISに共通する個人IDをもつ16病院の両データを用いて、両データベースの突合方法の検討を行った。その結果、共通する6つデータを用いることで、いずれの病院においても信頼性高く突合出来ることが確認できた。また、その手法を用いて37病院のDPC/JANISのデータを突合して、造血器悪性腫瘍患者における抗菌薬使用状況や薬剤感受性結果の実態について横断研究を行った。その結果、8064名の対象患者において、セフェピム 、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムの順で抗菌薬が使用されていた。また、薬剤感受性結果よりフルオロキノロン耐性菌が3.6%確認されたが、それ以外の耐性菌発現率は高くないことが確認された。
更に、共通IDを持つ16病院のDPCデータを用いて各病院の特徴と感染対策に関連した病院指標とJANISデータから算出した耐性菌発現率との関連性を検討した。感染対策の指標としては、VCM血中濃度測定率、血液培養2セット率、広域抗菌薬使用前の血液培養検査実施率、急性胆管炎に対する血液培養検査実施率等を算出した。また、黄色ブドウ球菌の耐性菌発現率は平均47.8%であった。感染対策の実施率が高い方が耐性菌発現率は低い傾向にあったが、それは病院規模によってバラツキが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DPCとJANISデータを患者個人ベースで突合することについては、技術的に困難な点も多く難航している。そのため病院単位ベースでDPCとJANISから得られたサマリーデータを突合する方法に一部変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は使用するDPC/JANISデータを200病院程度まで増やし、精度を高めた主成分分析を行うことで、より明確な医療機関の特徴付けを行う。また、感染症対策などの特徴によって医療機関を分類し、それぞれの医療機関における薬剤耐性菌による増分医療費を推計することで、医療機関の特徴と増分医療費の関連性について評価する。増分医療費の検討には、先行研究のシステマチックレビューを行い、評価方法の検討を合わせて行う予定である。なお、感染症対策の専門家に新たに研究組織に加わってもらい、より質の高い研究を実現出来るよう見直しを行っていく。
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Causes of Carryover |
DPCとJANISデータの突合に関して方法論的な問題が生じたため、当初予定していた患者個人ベースでの抗菌薬使用と薬剤耐性菌の発現の関連性については、限られた患者集団のみでしか検討できなかった。そのため研究手法の一部見直しを行ったため、進捗に遅れが生じた。次年度は、あたらな手法として主成分分析の手法を用いて、病院数を200程度と増加して実施すること、感染症対策の専門家に新たに研究組織に加わってもらうことなど、研究手法と研究組織の見直しを行い、より質の高い研究を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)