2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism for serum phosphate homeostasis regulated by excercise and application for prevention and treatment of CKD-MBD
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19K22811
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹谷 豊 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30263825)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 運動 / 高リン血症 / CKD-MBD |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病患者では、高リン血症を主体とする骨ミネラル代謝異常を引き起こし、心血管疾患の発症リスクが高まる一方で、低タンパク質食や慢性炎症による筋萎縮が進行するタンパク質ーエネルギー栄養不良の病態を引き起こす。これらは、いずれも予後不良因子であり、高リン血症の予防のためには、適切な治療と栄養管理が必要である。しかしながら、高リン血症を予防するための極端なタンパク質制限食やリン制限食は、低栄養を悪化させる原因となるが、逆に食事を増やすと腎機能の悪化や骨ミネラル代謝異常を招くことになり、薬物療法や栄養療法のみでは十分な管理を行うことが困難である。本研究では、運動により筋肉へのリンの取込を増加させることができれば、高リン血症を防ぐと共に、筋萎縮を予防することができるのではないかという仮説を検証することを目的としている。 本年度は、アデニン誘発性慢性腎臓病モデルラットを用い、短期的および長期的な運動による慢性腎臓病に伴う高リン血症改善効果について検討した。高リン血症を示す慢性腎臓病ラットに週3回、低強度または高強度の運動負荷を5週間行い長期的な効果を検討するとともに、最終週の運動負荷時に運動前後で短期的な効果を検討した。その結果、5週間の運動負荷期間後、運動負荷無し群に比べ、運動強度が高くなるほど筋肉量の増加を認めると共に、運動負荷群で有意な血中リン濃度の低下を認めた。しかしながら運動の短期的効果では、運動前に比べ運動後に血中リン濃度の増加を認めた。なお、運動負荷により腎機能の悪化は認められなかった。以上のことから、慢性腎臓病による高リン血症に対して、長期的な運動により筋肉量を増加させることで血中リン濃度を低下させるために有用となる可能性が示唆された。
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