2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K22997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂口 愛子 (藏田愛子) 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (40843024)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 図版 / 大学紀要 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる本年度は、明治期の東京大学紀要に関する基本情報の把握に努めた。具体的には『帝国大学紀要理科』に載る図版のタイトル、掲載論文名、原画制作者、印刷所等の情報を整理した一覧を作成した。さらに、東京大学初期における大学紀要の役割を探るため、東京大学文書館所蔵文書の検索・閲覧を行い、帝大紀要に関連する文書の解読を進めた。明治期の東京大学紀要にどのような図版が掲載されていたのかを探る基礎的な調査を実施することができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では『帝国大学紀要理科』及び『帝国大学紀要医科』に載る図版リストの作成を予定していたが、各図版を確認しながらのリスト作成には思いのほか時間を要したため、初年度は『帝国大学紀要理科』の図版に限り重点的な調査を実施することとした。『帝国大学紀要医科』の調査には至らなかったものの、『帝国大学紀要理科』の詳細な図版リストを作成することができたため、研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、初年度の研究成果である『帝国大学紀要理科』の図版リストに基づきながら、東京大学初期の刊行物である『理科会粋』と、『帝国大学紀要理科』との図版比較を中心に行う。また、初年度の東京大学文書館所蔵文書の閲覧により、バルセロナ万国博覧会(1887年)への帝大紀要出品に関する文書を確認しているが、なお不明な点が残されているため、研究2年目にも引き続き調査が必要となる。当初の研究計画では、研究2年目には、帝大から国外の大学図書館に送付された大学紀要の調査を行う予定であった。しかし初年度の研究経過を踏まえると、研究2年目においても国内研究機関での閲覧調査やオンライン検索を中心に据えつつ、初年度に開始することのできなかった『帝国大学紀要医科』の図版リストを作成し、帝大紀要の博覧会出品に関する調査を行う必要があると考えている。当初の研究計画で予定していた海外調査を行わず、国内所在資料を中心とした研究計画の変更を検討している。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、2月から3月にかけて国内研究機関での閲覧調査を計画していたが、感染症拡大防止のため大学図書館や博物館への訪問を自粛することとした。一部の資料閲覧を次年度に持ち越しとしたため、次年度使用額が生じることとなった。
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