2020 Fiscal Year Research-status Report
The relationship between Mark Rothko's composition and Minimal Art
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19K23011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 彩葵 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10844996)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | マーク・ロスコ / 抽象表現主義 / アグネス・マーティン / ミニマル・アート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抽象表現主義の画家マーク・ロスコの構図とスケール性に着目し、ロスコ作品の独自性について検証した上で、ミニマル・アートとの受容関係を考察するものである。 上記の考察を行うため、当該年度は、抽象表現主義とミニマル・アートをつなぐ画家としてアグネス・マーティンに着目し、彼女の1956-1967年のグリッド絵画とロスコ様式の絵画について構図および鑑賞体験からの比較検証を行った。加えて、マーティンの評価が高まる1960年代のアートシーンやミニマル・アートに関する批評を確認し、60年代における抽象表現主義と抽象表現主義以後の美術の受容関係について考察した。本研究成果として、9月の美術史学会例会で口頭発表を行った。 1960年代に入ると、ミニマル・アートをはじめ抽象表現主義以後の多様な美術が隆盛するが、ロスコが1961年にニューヨーク近代美術館で開催した個展を取り上げ、当時の美術批評および、ミニマル・アートを代表するドナルド・ジャッドをはじめ、ロバート・ライマンら若手作家たちの言説を検証し、ロスコが60年代のアートシーンに与えた影響について考察した。ロスコが展示プランにも関わり、彼の世界観が全面に出た本展は、批評する側、制作する側の双方に大きな問題提起を行い、その後の60年代の美術動向や作家たちの意識にも作用を及ぼしたことが明らかになった。なかでも作品がもつ「スケール」の感覚と、絵画の支持体と壁面をも含む展示空間との関係性は若手作家たちに新たな方向性を提示したことが判明した。本研究成果は、所属先が発行する研究紀要『美術史論集』に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度前半に、ロスコ財団の作品資料が寄贈されたワシントンのナショナル・ギャラリー、作家たちのインタヴュー等を収蔵するワシントンのスミソニアン研究所アメリカ美術アーカイブや各作家のアーカイブがあるアメリカ各地で作品および資料調査を行う計画であったが、新型コロナウイルス感染症拡大により、中止せざるをえなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の推移を見つつ、海外調査が可能になった時点で海外出張を行い、作品および文献調査を行う。また本研究課題のエフォート数値を上げることによって、当該年度に予定していた調査研究の遅れを取り戻し、予定の進捗度合に到達する。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた海外調査を新型コロナウイルスの影響により延期したため、次年度使用額が発生している。
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Research Products
(2 results)