2020 Fiscal Year Annual Research Report
中国と日本における漢代象数易の展開―『周易命期略秘伝』を中心として
Project/Area Number |
19K23013
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 衛 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 助教 (20850150)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 象数易 / 易経 / 日中交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、漢代易学が如何なる理論を持ち、それが日本にどのような影響を与えたのかを明らかにすることが目的であった。今年度は、漢代易学の解明に重点を置き、漢代象数易に関わる易書の版本や占法の検討を行い、漢代易学の興亡について纏めることに取り組んだ。その具体的な成果は、以下の四点である。 (1)前漢末以降に編纂された緯書の一篇、『易緯通卦験』に記載されている二十四節気・七十二候の構造について明らかにした。(2)漢代易注を多く引用する唐・李鼎祚『周易集解』の流伝・版本の特徴について考察し、現行本は北宋慶暦本に源を発し、清の雅雨堂本以降は、恵棟の校訂の影響があることを明らかにした。(3)前漢の焦延寿の著作とされる『焦氏易林』の版本を調査考察し、これまで見出されてこなかった中国国家図書館所蔵の抄本を活用しつつ、宋代の議論を踏まえ、宋代までに『焦氏易林』の占法には少なくとも三つの方法があったことを明らかにした。(4)易学は、漢代に大きく発展した。その一つが、象徴と数理をもって解釈する象数易であった。その象数易が如何に興り廃れていったか、漢代における易学の発展過程をまとめた。 以上の研究成果は、「『易緯通卦験』の二十四節気・七十二候」(『東洋古典学研究』第49集, pp.25-52, 2020)「漢代易学興亡史稿(上)」(『東洋古典学研究』第50集, pp.21-41, 2020)、「李鼎祚『周易集解』の流伝」(『汲古』第78号,pp.14-20,2020)、「『焦氏易林』占法考―現存本の系統と特徴を踏まえて」(『東洋学報』第102巻第4号,pp.1-26,2021)と題する論文で発表した。
|
Research Products
(4 results)