2019 Fiscal Year Research-status Report
近代的書記言語の形成過程の解明-ベトナム語の虚詞と文法史的変化を通して-
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19K23047
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
鷲澤 拓也 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30847083)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 古ベトナム語 / 近代書記言語 / 文法機能語 / 近代ベトナム文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外の図書館等から、古いベトナム語の文献、ベトナム文学および関連する文献を収集した。また、研究に必要な電子機器も購入し、対象資料の分析の準備を進めることができた。分析対象の資料が多くある中、それらすべてについての分析をどのようなプログラムで行うか、検討を進めている。 分析対象の資料のうちの一部に関し、いくつかの文法機能語に限定して使用方法の変遷を俯瞰的に把握した。それにより明らかになった研究成果を、2つの国際学会で発表した。1つは8月にタイで開かれた第8回オーストロアジア言語学会(ICAAL8)で、16~19世紀のベトナム語における4つの文法機能語の用法変化の過程を他の言語と比較・対照した。もう1つは、台湾で開かれた第4回国際ベトナム・台湾学会(ICVTS)で、ベトナム語の歴史的な文法機能語の使用の変遷をもとにベトナム語の近代的書記言語の成立過程を示し、それを踏まえて台湾語の近代的書記言語成立に関して考察した。ICAAL8の内容は、英語の学術雑誌“JESALS [東南アジア言語研究]”に投稿した。 近代に至るまでのベトナム語の文法機能語の使用状況を知るため、『新編傳奇漫録』における機能語を用いた受身表現について調べ、論文の形で整理し、学内紀要に掲載された。 近代のベトナムの国際関係についても、関連文献を収集しつつ調べて理解を深め、国際関係と言語との関わりについて、考察を進めることができた。 母語話者に対する調査や、成果発表としてのテキストの作成・出版、研究者の招聘についても、構想を練っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析対象の資料および関連文献の収集と分析を進められている。また、関係する研究者と話し合いを進めている。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、予定されていたベトナムおよび諸外国への渡航をキャンセルしたことにより、資料収集は予定より大幅に遅れており、それによりデータ化も予定通りにはできていない。海外での学会参加による情報収集も、予定していたよりもできなかった。 分析のためのプログラムも使用可能な状態となるまでにはできておらず、人文情報学の本格的な導入はこれからとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
海外への渡航が可能になるような状況の変化を見て、ベトナムをはじめとする海外にある分析対象資料の収集を進める。 分析のためのプログラムも作成を続け、包括的な分析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、予定していた海外渡航のいくつかがキャンセルとなり、旅費の支出が予定よりも少なくなった。また、それに伴う研究の遅れにより、人件費や謝金を伴う調査等も行わなかった。翌年度、海外への渡航が可能になるような状況の変化を見て、資料収集や学会発表のための海外渡航をし、謝金を伴うベトナム語母語話者への調査や分析用プログラムの作成を進める。
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Research Products
(4 results)