2021 Fiscal Year Research-status Report
植民地朝鮮・台湾・満州における文楽(義太夫)享受の諸相に関する調査・研究
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19K23082
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
韓 京子 青山学院大学, 文学部, 教授 (30844774)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 近代在外日本人の芸能活動 / 文楽の海外公演 / 素義会の活動 / 植民地における日本古典芸能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地朝鮮・台湾・満州における文楽(義太夫)享受の諸相について外地における伝統芸能の公演や内地人の娯楽としての芸能活動という観点から考察するものである。 本年度も依然としてCOVID-19感染拡大の状況下であったため、予定していた海外での資料調査は実施できなかった。したがって、入館制限が緩和された日本国内の図書館で、外地で発行された新聞や雑誌記事や、日本国内で発行された浄瑠璃関連雑誌記事、また、韓国の図書館に所蔵され、web上で閲覧可能な資料の調査を進めた。 これらの調査から、1900年代初頭、植民地朝鮮における義太夫の流行の様子、在朝日本人の浄瑠璃同好会のメンバー、また、太夫や三味線などの植民地朝鮮への渡航経緯・様子などを知ることができた。首都京城だけでなく、仁川、釜山、馬山、鎮海、春川などの地方都市においても素義会が組織され、京城同様の活動が行われていた。これら各地の会を統合した素義連合協会の設立に至るほど、在朝日本人にとって浄瑠璃が重要な娯楽として享受されていたということが確認できた。 以上の、在朝日本人の浄瑠璃関連活動に関する資料調査をもとに、2021年12月18日、韓国日語日文学会(オンライン開催)にて、「植民地朝鮮と浄瑠璃」という題で、研究発表をし、現在、論文を執筆中である。 また、植民地台湾で発行された新聞・週刊誌・雑誌などの浄瑠璃関連記事から、台湾における、文楽興行の実態や在台日本人の浄瑠璃同好会の活動を具体的に調査し、外地に住む人々にとっての浄瑠璃(文楽)の意味を探っていく予定である。 植民地台湾に関して調査した内容をもとに、2022年8月26-30日に開催される「2022AFC(アジア未来会議)」国際学会(於台湾中国文化大学)にて、「植民地朝鮮・台湾滞在日本人と日本古典芸能」という題で発表報告を行い、論文としてまとめ執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大により、海外に所蔵されている資料調査が予定通りに実施できなかった。上記のように、日本国内の図書館や、web上で閲覧できる海外所蔵資料を用いて調査収集を行ったが、当初予定していたほど進捗してはいない。韓国における資料調査は可能となったが、入国制限が緩和されていない台湾における資料収集や調査は引き続き支障が生じると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、2021年12月18日、韓国日語日文学会にて、「植民地朝鮮と浄瑠璃」という題で研究発表をした内容をもとに、現在、論文を執筆中である。また、調査・分析をつづけ、2022年8月、台湾の台北(於中国文化大学)で開催される第六回AFC(アジア未来会議)にて、発表報告する予定である。 資料調査については、まず、韓国に所蔵されている資料の調査を進め、入国緩和を待って台湾の図書館に所蔵されている資料について調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響により国内・海外の機関所蔵の資料調査に大きな支障が生じた。台湾への海外渡航禁止が解除(緩和)され、図書館への調査が円滑に実施されれば、台湾の機関所蔵の資料調査を行う予定である。研究費は資料調査のための旅費として、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)