2019 Fiscal Year Research-status Report
ホッブズとロックの宗教論―17世紀半ばイングランドの脈絡から
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19K23177
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
岡田 拓也 大東文化大学, 法学部, 講師 (20846646)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ホッブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
17世紀イギリスの哲学者ホッブズの『リヴァイアサン』は古典的著作として名高い。しかしその後半部を占める特異な聖書解釈は理解が難しく、とりわけこれをどのように同時代の脈絡に位置づけるかが課題である。私はホッブズとその同時代人オーヴァトンとの関係からこの課題に取り組んでいる。ホッブズとオーヴァトンが霊魂の不死を巡り非常に類似した聖書解釈を展開していることはこれまでの研究でも指摘されてきた。そして私はさらに、ホッブズとオーヴァトンの類似性は同時代の様々な論者の中でもとりわけ大きいことを既に示している。 これを踏まえ今回の研究ではまず、1643年に公表されたオーヴァトンの著作が同時代人にいかに受容されたかを明らかにした。そのために、当時の議会の論争や、長老派、自然科学者の議論を調べ、彼らが霊魂の不死やオーヴァトンの著作についていかに受け止めているかを調査した。次にこの受容状況を踏まえ、ホッブズがオーヴァトンと同様の立場を取ったことにはどのような意味があるのかを検討した。こうして完成した原稿は、現在学会発表に投稿中である。その結果も受け、今後英語雑誌に投稿していく予定である。 オーヴァトンと並んで私が着目しているホッブズの同時代人がテイラーである。これまで私はホッブズとテイラーの関係を、同時代の寛容を巡る論争の中で位置づけてきた。今回の研究では、これまでの成果を踏まえ、英文雑誌に投稿する準備を進めた。その中で研究会で投稿原稿を発表し、貴重なコメントを得た。 以上の研究と密接に関わる成果として、政治思想史の新たな参考書『よくわかる政治思想』のホッブズの項目などに寄稿し、入校した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホッブズとその同時代人オーヴァトンとの関係について英語論文の原稿を仕上げることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
ホッブズとテイラーの関係を扱う論文の原稿は大きく改訂する必要があることが明らかになり、現在その準備を進めている。これまで良心の自由を巡る同時代の論争の中で両者を位置付けてきた。しかしそれよりもむしろ、テイラー以外のアングリカンに着目するのがより有効だと分かったため、1640年代のアングリカンについて研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
イギリスでの資料調査や海外での学科発表は主として2020年度に行う予定である。
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Research Products
(1 results)