2020 Fiscal Year Research-status Report
アフリカにおける住民参加型の開発実践下の地域社会と住民組織に関する総合的研究
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19K23267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松隈 俊佑 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特定研究員 (30844550)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 地域研究 / アフリカ / 在来知 / 国際協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,途上国において,とくにサブサハラアフリカ諸国において,開発実践の現場のアクターやニーズが多様化しており,地元住民の社会的背景や現場に即した開発事業の実践の重要性が増している.また持続可能な開発実践は現地への適合なしにはあり得ない.そこで,開発実践の現場がどのように個々の開発事業を受け止めて,これに反応しているか丁寧に調査・分析する必要がある.本研究は,途上国での日本の開発実践の現場で比較的長くフィールドワークを行い,開発実践の前後で,在来の知識や技能,技術の伝達や在来の社会組織の活用と再編といった,現場の地元住民の反応について参与観察と聞き取り調査を実施する計画としていた. 今年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて,現地調査を実施することができなかったため,過去に実施された開発実践について情報を整理し,論文等にとりまとめて発表をおこなった.具体的には,タンザニア共和国における草の根無償支援を利用した小規模道路整備の事例について土木学会論文集に論文を投稿し公刊した.また,2019年度に実施した住民参加型の生活道路の改修工事デモンストレーションについて情報を整理して機関誌にて報告した. 感染症拡大前に実施した現地調査で得られた情報やインタビュー内容をもとに,アジスアベバ科学技術大学とジンカ大学の研究者や,エチオピア道路公社の職員とオンライン会議等を活用し,情報収集を継続して実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多くの場合,途上国での開発実践は,当初に設定した目標の実現だけではなく,それに付随してさまざまな社会変化を誘発する作用をもっている.こうした社会動態を詳細に調査した研究はごく少数にかぎられている.本研究は,開発実践が行われる村でフィールドワークを実施し,そのデータの分析をすることで社会動態の解明を目指している.しかしながら本年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大のために,現地渡航が実施できず本研究の要であるフィールドワークと社会調査を実施することができなかった.一方,過去の小規模道路整備の開発実践の事例をもとに論文をまとめ発表をおこなった.また現地渡航に制限がある中で,オンライン会議等を活用し,遠隔での聞き取り調査を実施した.現地渡航ができないために研究の進捗に遅れが生じているものの,現地渡航が再開できるようになった際には,充実した研究活動が実施できるよう準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初2020年度までに予定していた現地調査を本年度中に実施する.集中的な参与観察や聞き取り調査の実施に制限が出る可能性があるため,電子メールやSNSなどを利用して情報収集をおこなう. また,2020年度に投稿した論文や機関誌に報告した論文の内容を,複数の学会・研究会にて報告する予定としている.上記の社会調査を実施したあとには,情報を整理して論文としてとりまとめる.
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Causes of Carryover |
当初計画していた現地渡航について,新型コロナウイルス感染症の感染拡大のために実施が困難になったため.本研究の期間を延長して,現地渡航を次年度に実施することとした.
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Research Products
(2 results)