2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23323
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 奈保子 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40846896)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 自己調整学習 / 生涯学習 / オンライン大学 / eラーニング / 社会人学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、eラーニング制大学通信教育課程(オンライン大学)で学ぶ女性社会人の学習環境を調査することで、学習阻害要因とその対処としてどのように自己調整しているのかを明らかにすることを目的とした。16人の協力者にインタビュー調査を実施し、大学で学ぶ目的、家族や職場の人との関わりを含む学習環境の現状と理想、学習での工夫、卒業後の自身の理想像について尋ねた。最終年度は再分析し論文化を目指した。 学習での工夫については、修学期間を限定し、就業形態を変えたり業務の優先順位をつけたりして仕事量を調整すること、家事の効率化や育児のアウトソーシングをすることで、学習時間を確保していた。学内での交流は、不安の解消や学習の効率化のために、イベントやSNS(social networking service)を通してほかの学生との情報交換をしていた。一方、交流に抵抗感がある学生もおり、学習に関する情報不足が課題となっていた。 学ぶ目的と卒業後の展望については、学ぶ目的が明確な学生は、大学の情報を慎重に得て入学を決定し、入学前からの仕事や活動、あるいはそれを発展させた仕事や活動に対してより精緻に取り組むことを理想としていた。大学で多角的・客観的な視野を獲得したことで、人間的に豊かになったことを自覚していた。 学び直しがもたらす家族や職場の人との関わりについては、女性の学び直しに対する相手の価値観がベースになっていた。女性の学び直しに否定的な人からは、見下すような言葉や無関心・非協力の言葉をかけられていた。一方、肯定的な人からは、励ましの言葉や学習に専念するための支援を受けていた。 本研究の社会的意義は、女性社会人が大学で学ぶ際の課題、学習阻害要因に対する対処について明らかにした点である。また、学術的意義は、成人が学び直しをすることの意味、女性の学び直しに対する人々の価値観に関する示唆を得たことである。
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