2019 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム人日本語学習者の語彙学習ストラテジーに関する認知心理学的研究
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19K23326
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
天野 裕子 関西大学, 国際教育センター, 留学生別科特任常勤講師 (80848177)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 語彙学習ストラテジー / ベトナム語母語話者 / 漢越語 / 日本語学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ベトナム人日本語学習者の語彙学習ストラテジーの使用傾向(どのように語彙を学習するのか)と心理的要因(どんな動機で日本語を学習するか、将来についてどのように考えているか等)との関連について明らかにすることを目的にしている。調査方法は、量的調査(アンケート調査)・質的調査(インタビュー調査)の両方を行うことで、これまでに指摘されてきた、両調査法の不足点を補完することを目指した。 2019年度はまず、4名の中級以上の日本語学習者に日本語で行った半構造化インタビューの分析を行った。その結果、調査対象者の発言は「現在の日本語使用場面」、「語彙学習ストラテジー」、「日本語学習の動機づけ」、「学習中の変化」の4つに大別できた。また、分析から日本語学習者は多様な語彙学習ストラテジーを使用しており、自身で意識的に場面や目的に合わせて語彙学習ストラテジーを使い分けていることが明らかになった。この結果については、国内の研究会で口頭発表を行っている。しかしながら、この調査の対象者は日本語のレベルや学習歴が限定的であったため、さらに2020年2月に学習歴1年未満で初級程度の学習者にも追加で半構造インタビューを行った。この結果については、今年度分析を行う予定である。 また、量的調査については、アンケート調査の結果を統計的に分析した。この結果、複数の語彙学習ストラテジーと心理的要因(日本語学習への動機づけ、時間的展望)には関連があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は量的調査と質的調査の両方を行うことで、両調査法の不足点を補完することを目指している。 質的な調査については、既に得られていたデータの分析を行い、国内の研究会にて口頭発表を行っている。このデータの対象者のレベルや学習歴には偏りが見られたため、2019年度は、さらに対象を変えて半構造インタビューを追加で行った。また、量的な調査については、既にデータの統計分析をほぼ終えている。 以上、本研究は当初の計画通り、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず2019年度に追加で行った半構造インタビューの分析を行い、既存のインタビューの分析と合わせて、より詳細な分析を行っていく。 さらに、質的調査とこれまでに行った量的調査の研究成果をまとめ、所属する学会や研究会での発表やジャーナルへの論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
統計調査の際に、統計ソフト(SPSS、AMOS)を購入する予定であったが、所属機関により無償で配布をされるソフトウェアであったため、物品費の使用額が減少した。また、2020年2,3月の学会・研究会が中止となったため、旅費も減少した。これらは今後、考察の参考にするために、書籍費とベトナム語の研究者やベトナム人日本語教師などへの謝礼に用いる予定である。
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