2019 Fiscal Year Research-status Report
Dark matter search unifying theory, gamma-ray and optical observations
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19K23446
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 矮小楕円銀河 / 可視光 / ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では暗黒物質の正確な理解を得るためにの3つの研究(a)解析的手法による暗黒物質サブハロー分布の決定(b)可視光観測による矮小楕円銀河質量分布の決定(c)フェルミ衛星データを用いたガンマ線解析を連携する。2019年度はこのうち(a)、(b)の研究を主に進めた。 (a)に関連しては、解析的モデルに基づき天の川銀河の衛星銀河である矮小楕円銀河に相当するような暗黒物質サブハローの密度分布を密度分布決定の際の事前確率分布として用いることで密度分布の決定精度を改善する新しい手法を提案した。先行研究では平坦な事前確率分布が用いられていたが、本手法で決定した密度分布では対消滅シグナルに寄与する暗黒物質量は先行研究の場合よりも小さいとの結果が得られた。この原因は先行研究の平坦な事前確率分布で導入する必要のあった確率分布の端に起因していることがわかった。 (b)に関連しては、可視光観測・データ解析にあかるい研究者と複数回の議論を行い、矮小楕円銀河密度分布を決定する際に必須となるメンバー候補星の抽出に焦点をあてて研究を進めた。議論を通じ、先行研究で星のメンバー確率の取り扱いに非整合的な部分があり最終的に目指す暗黒物質(本研究の場合にはWeakly Interacgting Massive Particle, WIMP)の対消滅断面積の制限に波及していることが明らかになった。この事実を元に、統計的手法にもとづき誤差の評価を改善し暗黒物質分布密度の決定を行う手順を明確化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の機関移動およびそれに伴う業務内容の変更があり、研究計画時の想定に対して研究時間が大幅に減少してしまったことが挙げられる。また、 加えて、新型コロナウイルスの影響で共同研究者との議論機会が大幅に減少したこと、また、対応のため余剰の時間が必要となったことが主たる理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光観測の星データをもとに暗黒物質の密度分布を決定する作業に本格的に着手する。当初の想定に対する遅れについて、研究機関移動に伴い生じたものは一過性であるので、今後の進捗で回復可能な範囲と見込まれる。 業務内容・所属機関の変更に対応し、現環境に適した研究の進めた方を模索することで研究の加速を図る。 議論機会が減少してしまったことについてはオンラインミーティングなどを積極的に導入し対応する。
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Causes of Carryover |
研究機関の移動に伴う手続き等で研究の中断が生じたこと、および新型コロナウイルスの影響で共同研究のための旅費が当初の想定を大幅に下回ったことが主な理由である。 次年度使用計画としては、新型コロナウイルスの蔓延に対応するためのリモート会議システムの設定や論文成果発表に充当するよていである。
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