2019 Fiscal Year Research-status Report
将来衛星多点観測ミッションを実現する小型・高性能な新型プラズマ波動観測器
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19K23464
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
頭師 孝拓 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 助教 (10846827)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | プラズマ波動 / プラズマ波動観測器 / 宇宙電磁環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超小型プラズマ波動観測器に必要となる専用集積回路を開発することである。本年度は集積回路の設計環境を構築し、シミュレーションを用いた回路設計を行った。 本研究における主要な開発要素は以下の2点である。(1)波形捕捉型受信器とスペクトル受信器を同時に実現するアナログフロントエンド(2)先行研究における課題であった周波数帯域の向上 (1)について、回路の基本的な設計を確定することができた。新型観測器は波形捕捉型受信器とスペクトル受信器を同時に実現するため、外部から周波数特性を制御可能なフィルタを搭載する。そのようなフィルタを実現するための回路構成を確定し、回路シミュレーションにより所望の動作が実現できていることを確認した。今後、詳細な動作解析を行い、必要に応じて回路を改良する予定である。(2)について、周波数帯域の向上に不可欠となる広帯域オペアンプの設計を現在行っている。先行研究により実現した集積回路においては、アンチエイリアシングフィルタが周波数帯域向上における一番のボトルネックとなっていた。これまでのフィルタにおける動作を解析した結果、周波数帯域向上にはフィルタを構成しているオペアンプの周波数特性が不足していることが判明したため、まずオペアンプの設計を行っている。本研究では、従来用いられていた汎用的な構成のオペアンプから、使用するフィルタに特化した構成に変更することで周波数帯域の向上を目指している。設計が完了次第、先行研究で設計されたフィルタ回路に組み込み動作確認を行う予定である。 今後、上記のような回路設計を完了させ、集積回路として実現するための回路レイアウトを行う。その後、レイアウトにおけるノイズ等の解析を行い、得られた結果を踏まえて調整することで、最終的な設計を完了させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における主要な開発要素は、(1)波形捕捉型受信器とスペクトル受信器を同時に実現するアナログフロントエンド(2)先行研究における課題であった周波数帯域の向上 の2点である。 このうち、(1)波形補足型受信器とスペクトル受信器を同時に実現するアナログフロントエンドの設計については基本的な設計が完了し、現在回路シミュレーションによる詳細な検討に移っている。詳細設計が固まり次第、レイアウトレベルの設計を開始する予定である。(2)周波数帯域の向上については、これまでにオペアンプの周波数帯域を改善することができ、フィルタ内に組み込んだ際の性能評価を行っている。フィルタの設計が完了した後に(1)で設計した回路に組み込み、一体化した形でレイアウトレベルの設計を開始する予定である。 当初の計画においては、2年目の途中からレイアウトレベルの設計に移る予定であり、現在の状況は当初の予定通り進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である、小型・高性能なプラズマ波動観測器専用集積回路の実現に向け、現在までに、専用集積回路の回路図レベルでの設計が進行している。次年度のはじめは引き続き回路図レベルでの設計を継続し、レイアウトレベルでの設計を行うベースとなる回路を確定させる予定である。現在並行して設計を行っている新型アナログフロントエンドと広帯域フィルタについては、設計が完了した後に統合を行う。その後、レイアウトレベルの設計を行い、レイアウトレベルの設計完了後はポストレイアウトシミュレーションによる詳細な解析を行う予定である。最終的に、所望の特性を持った専用集積回路の製造が可能なレイアウトを実現することを目指す。 本研究の推進にあたっては、主に今年度の開発事項であったアナログ集積回路の回路図レベルの設計環境に加え、今後、レイアウトレベルの設計環境が必要となる。これらの環境については既に準備が完了しており、各段階が完了し次第次の設計へと即座に移ることができる状態である。
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Causes of Carryover |
本年度の使用額はほぼ計画通りであったが、新型コロナウイルスの影響により参加予定であった学会がキャンセルとなったため、少額が次年度使用額となっている。 次年度使用額は少額であるため次年度においても総額の計画に変更はないが、新型コロナウイルスの影響により海外への出張が困難な状況にあり、旅費としての使用額は減額が生じる見込みである。
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Research Products
(2 results)