2019 Fiscal Year Research-status Report
超小型高速光通信衛星実現に向けた微小擾乱の基礎研究
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19K23480
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細沼 貴之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (40850524)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 擾乱計測 / HILS / 衛星指向制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光通信衛星システムの指向精度向上に向けて,衛星構造の振動や軌道上の熱環境によるアライメントの変動によって生じる指向精度の劣化を評価するために,下記2点を目標に設定している. (1)超小型衛星の構造振動・アライメント変動を実測し,数学モデルを構築する. (2)(1)の数学モデルを取り込んだHardware In the Loop Simulator (HILS)を構築し,構造振動・アライメント変動が及ぼす指向制御精度への影響をHILSによって明らかにする. 1年目にあたる本年度は,上記2つの目標のうちの(1)について取り組み,(2)で用いるHILS構築のための準備を進めた.具体的には,①超小型衛星の構造振動の計測と数学モデルの構築,②将来ミッションで用いる望遠鏡-衛星間のインターフェースの具体化の2点を実施した.以下,①,②の各々について記す. ①超小型衛星における主要な構造振動の要因であるRW(Reaction Wheel)が回転している状態での構造振動を,加速度センサおよびFOG(光ファイバジャイロ)を用いて計測した.計測結果を解析し,周波数に対する振動のパワー密度を算出することで,HILSに取り込める形の数学モデルを作成した. ②本研究の応用先として想定しているミッションについて,衛星姿勢制御精度や軌道推定精度等の評価を行った.評価した結果を基に,望遠鏡・通信機器担当の研究機関と議論し,望遠鏡サイズや光通信に用いるセンサ,衛星姿勢制御との連携方法等,HILSに取り込むシミュレーション設定に必要となる条件を決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の目標として,構造振動の計測と計測結果を基にした数学モデルの構築,及び,構造振動を抑えるための駆動機構の選定と,駆動機構とシミュレータとのインターフェースの構築までを目標にしていた. これらの目標のうち,構造振動の計測と数学モデルの構築までは進んだ一方で,構築した数学モデルの検証に時間を要したため,当初の目標の範囲である,駆動機構の選定,及び駆動機構とシミュレータとのインターフェースの構築までは完了できなかった. 以上の状況から,本研究の現在までの達成度は「やや遅れている」に該当すると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年度の結果を基に,構造振動を抑えるための駆動機構の選定と,駆動機構とシミュレータとのインターフェースの構築に取り組む. その後,当初の予定通り,前年度に作成した数学モデルを取り込んだHardware In the Loop Simulator (HILS)を構築し,衛星姿勢制御系と駆動機構実機をシミュレーションループ内に取り込んだシミュレーションを行い,構造振動・アライメント変動が及ぼす指向制御精度への影響をHILSによって明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも研究進捗が遅れ,本年度購入予定であった機材の仕様決定に至らなかった.このことに伴い,本年度購入予定であった機器の購入を見送ることとなり,次年度使用額が生じた. 生じた次年度使用額は,当初計画では本年度購入予定であった機器の購入と,進捗の遅れを補うための補助機材の購入に充てたいと考えている.
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