2019 Fiscal Year Research-status Report
Process construction for reversible and irreversible flow-induced gel phase transition-A new strategy for soft matter production
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19K23499
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
原 峻平 同志社大学, 理工学部, 助教 (20844088)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 流動誘起ゲル / 乱流 / 界面活性剤 / 相転移 / 可逆・不可逆性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルとは,高分子が架橋された三次元的網目構造を骨格とする膨潤体であり,溶媒に不溶のものとして定義される.とりわけ,物理的凝集や高分子鎖の絡み合いによって架橋している物理ゲルは,ゾル-ゲル間の相転移(構造相転移)が可逆であり,再生医療用の細胞培養基材や細胞輸送時の保護膜などへの応用が期待される.近年,粒子を詰めたマイクロチャネルに界面活性剤溶液を流すと,マイクロサイズの不可逆的物理ゲルも作製可能であると報告され,更なる応用分野の拡大が期待される.しかし,このゲル形成現象は形成条件に不明な部分が多く,その再現性は著しく低く,報告例がほぼない. 本研究では,流動条件を系統的に変更しつつ実験を行い,解析結果から流動誘起ゲルの作製プロセスの構築を目的とする.流動誘起ゲル相転移の可逆・不可逆性を整理できるモデル式を提案し,形成されたゲルの構造とその力学的特性をそれぞれ検証することで,体系的にまとめ上げ,目的達成を目指す. 今年度は,流動誘起ゲル作製に関する形成条件を,溶液濃度,伸長率・せん断率と変形量に着目して模索した.そして,形成されたゲルの可逆・不可逆性及びその動的粘弾性特性についても調査を行った.その結果,ゲル形成条件を大よその範囲で特定することに成功した.また,それらの条件を変更することで,ゲルの強度が増減することも明らかにした.限定的な条件下で形成されたゲルは,水中に半日以上放置しても形状を保ち,不可逆的相転移が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,界面活性剤ゲルを作製するために,二種類の滲出装置を作製した. 一つ目は,伸長率・せん断率と変形量を幅広く変更するために,手動式の滲出装置を作製した.これを利用することで,溶液濃度の影響も含め,大よそのゲル形成条件を特定することができた.形成されたゲルを経時観察したところ,その不可逆性についても確認できた.また,当初二年目に着目する予定であったゲルの動的粘弾性特性について,レオメータを用いた実験から明らかにすることができた. 二つ目は,ローラーポンプを利用した自動式滲出装置である.これは手動式のものに比べてよりも狭い流動条件下でしか実験できないが,ゲル形成条件をより定量的に調べることができる.また,試運転の段階ではあるものの,ゲルの形成に成功している. 加えて,ゲル拡散係数を評価するために必要な平行平板間流路の準備も進んでおり,新規のテストセクションの作製も完了している. これらを踏まえ,当初の計画以上に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験結果を受けて,流動誘起ゲルの形成条件を定量的に特定するために,自動式滲出装置の改良を更に行う.また,学内の走査型電子顕微鏡を用いて,ゲルの特徴量について調査を行う予定である.特定した形成条件を基に,完全発達したチャネル乱流の中央付近から,フィルター付きノズルを用いて形成したゲルを流し込み,そのゲルの拡散係数を調査し,モデル式の作成に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
今年度,ゲルの力学的評価のために水槽を改造する予定であったが,同志社大学保有のレオメータを借りることができ,その必要が無くなったために次年度の使用額が生じた. 自動式滲出装置の改良やレオメータ測定の精度向上のための改良を更に行う必要があり,それらへの費用へ当てる予定である.具体的には,界面活性剤の購入,ローラーポンプの購入,追加の電磁流量計の購入,光学部品の購入,ゲル作製に用いる専用メッシュの複数購入及びゲル観察に必要な走査型電子顕微鏡の利用料などが挙げられる.
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