2019 Fiscal Year Research-status Report
能動素子と受動素子を同時集積した窒化物半導体フォトニック結晶
Project/Area Number |
19K23508
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田尻 武義 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (00842949)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | フォトニック結晶 / 窒化物半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、窒化物半導体材料を用いたスラブ型フォトニック結晶に着目し、新たな作製技術に挑戦することで、能動素子と受動素子の同時集積化の実現を目指している。本年度は、光素子を集積するためのフォトニック結晶構造を設計すると共に、窒化ガリウム(GaN)に本構造を作製できる可能性を見出すことができた。 設計では、スラブ面内に円孔が三角格子状に配列する構造を対象に、可視光領域に光のバンドギャップを有する構造を数値解析により検討した。平面波展開法を用いることで、比較的広帯域なバンドギャップを有する構造の詳細な寸法を明らかにすることができた。設計した構造を作製するために、材料の成膜および、フォトニック結晶構造の形成手法、スラブ層を中空にするための加工プロセスについてそれぞれ実験的な検討を行った。材料の成膜では、有機金属気相成長法を用いることで、エッチングにより除去可能な層(犠牲層)の上に、GaNスラブ層を成膜することを検討した。GaNとInNの組成比を周期的に変調した層を犠牲層として、その上に良好なGaNスラブ層を成膜できることがわかった。犠牲層を除去するための加工プロセスとしては、安価な青色レーザーダイオードを用いた電気光化学エッチングを検討したところ、スラブ層を残して犠牲層のみのエッチングが進行する様子を確認することができた。また、電子線リソグラフィと反応性イオンエッチングにより、設計に近い円孔配列のフォトニック結晶パターンを形成できることも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、光素子を集積することが可能なスラブ型フォトニック結晶の設計が完了した。また、窒化物半導体材料を用いて作製するための、各要素技術の開発に見通しが得られた。これらのことから、研究計画としては順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、GaNスラブ型フォトニック結晶共振器に発光領域が形成された微小光源の実現に取り組む。また、発光領域を共振器周辺部に局在するように形成すると共に、微小光源と光受動素子との同時集積化にも取り組む方針である。 フォトニック結晶共振器は、時間領域差分法を用いた数値解析により設計し、初年度に開発した技術を用いて作製に取り組む。発光領域としては、有機金属気相成長法によりウェハサイズで比較的容易に成膜できるInGaN/GaNダブルヘテロ構造を対象とし、共振器部周辺部に局在して形成するための半導体プロセスを検討する。光学評価には、顕微フォトルミネッセンス分光法により共振器モードの発光スペクトルを観測する計画である。最終的に、フォトニック結晶共振器と合わせて光導波路などを同時に作製することで、微小光源と光受動素子の同時集積化を目指す。
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