2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparison of measurements and electromagnetic field analyses of time-changing magnetic field of an HTS magnet
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19K23513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽我部 友輔 京都大学, 工学研究科, 助教 (40847216)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 粒子加速器 / マグネット / 磁界測定 / 電磁界解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子加速器用高温超伝導マグネットにおける遮蔽電流磁界の振舞いの予測、抑制を可能とするために、変動励磁された高温超伝導マグネットにおける磁界測定及び電磁界解析による知見の蓄積が必要である。本研究では、高温超伝導マグネットを粒子加速器用マグネットに要求される運転パターンで運転した場合の遮蔽電流磁界の振舞いを、小規模の高温超伝導マグネットを対象とした磁界測定によって明らかにすることを目的とした。 研究代表者の所属する研究グループが有するレーストラック形状の高温超伝導コイルから構成される小型高温超伝導マグネットを対象とし、種々の励磁パターンで運転した場合の磁界の時間的振る舞いを測定した。磁界の空間的分布を評価可能であるが高速な測定が原理的に不可能な回転ピックアップコイルを用いた測定、一点の磁界の絶対値しか測定できないが高速な測定が可能なホールセンサを用いた測定の両方を実施し、長時間の多極磁界成分の変化、短時間の磁界の絶対値の変化を実験的に評価した。特に粒子加速器の中でも、重粒子線がん治療に用いられる回転ガントリー用マグネットを意識した励磁パターンで運転し、励磁パターン中の種々のパラメータが磁界の時間的振る舞いにどのような影響を与えるかを調査した。 この測定により、加速器用マグネット、特に重粒子線がん治療に用いる回転ガントリー用マグネットを高温超伝導マグネットで置き換えた場合に必要となる繰り返し励消磁運転が、マグネットの磁界精度に与える影響を実験的に評価したという点で意義がある。また、将来の回転ガントリー用高温超伝導マグネット等の運転パターン決定に寄与する基礎データを取得したという点で重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小型高温超伝導マグネットの通電電流を、重粒子線がん治療に用いる回転ガントリー用マグネットの運転パターンから決めたパターンで時間的に変化させ、その時のマグネット発生磁界を測定した。通電パターンのパラメータとして、電流値を上げ下げする場合の最低値、電流最大時(フラットトップ)での電流保持時間、運転パターンの繰り返し回数を変化させて磁界測定を実施した。電流を下げている過程に複数設定している電流が一定の時間(ステップ)における磁界について特に着目し、運転パターンを繰り返すことによる磁界の変化が、ステップを繰り返さず、一定電流で保持し続けた場合よりも時間的変化が大きくなることを確認した。これは、回転ガントリー用マグネットに要求される運転パターンで通電した場合の高温超伝導マグネットの磁界変動は、MRI用マグネットなどの一定電流で運転するマグネットにおける磁界変動よりも大きな影響を受ける可能性を示唆する結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
小規模高温超伝導マグネットにおける種々の通電パターンによる変動励磁を電磁界解析によって模擬し、比較検討する。磁界測定との厳密な比較を行うためには、小規模高温超伝導マグネットの厳密な形状を再現可能な大規模電磁界解析モデルが必要である。これを実現するためには、研究代表者が所属している研究グループが保有するクラスタ型計算サーバを使用する。このモデルでは、小規模高温超伝導マグネットの巻線・接続構造や、巻線に沿った超伝導特性の分布などの複雑な三次元形状を考慮する必要がある。電磁界解析によって得られた結果から、小規模高温超伝導マグネットを構成する高温超伝導線内部の電流・磁界分布を議論し、変動励磁中の遮蔽電流及び遮蔽電流磁界の特性を評価するとともに、粒子加速器用高温超伝導マグネットにおける遮蔽電流磁界の振舞いを予測し、抑制することが可能かを見極める。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が取りやめとなったこと、並びに人件費・謝金が必要となる作業が発生しなかったことにより、当該助成金が生じた。 翌年度分と併せ、数値電磁界解析に必要な計算サーバやコンピュータの増強、並びに必要となる出張旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)