2019 Fiscal Year Research-status Report
花崗岩地域における土石流発生の周期性とリスク評価に関する研究
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19K23537
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
加藤 誠章 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (40845476)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 土石流 / 周期性 / 花崗岩 / 砂防 |
Outline of Annual Research Achievements |
既往研究では、崩壊と土石流の発生頻度は別個に議論されていた。本研究は、繰り返し土石流が発生する広島県西部の花崗岩地域を対象とし、空中写真判読と勾配・集水面積等の指標を用いた分析により、過去の崩壊・土石流の影響が、次の土石流の発生の有無・規模に与える影響を明らかにするものである。 本年度は、1945年以降に複数回大規模な土石流災害に見舞われた呉市南部を対象として、1945、1967、2018年の各イベントを対象として、空中写真判読を行い、個別の斜面あるいは0次谷における崩壊の発生時期、崩壊規模の他に、崩壊箇所の勾配・最上流部の集水面積等の地形条件について整理を行った。 その結果、同一の斜面で複数回の崩壊が発生した事例は非常に少なかった一方で、過去の崩壊地の上流部や隣接する斜面を源頭部とする崩壊・土石流が多数認められ、過去に土砂移動が生じたことが影響している可能性が示唆された。また、過去の3イベントの比較において、2018年7月降雨により生じた崩壊は、他の降雨によるイベントよりも緩い勾配で発生していることが確認された。このことは、AMeDAS呉観測所の観測データの存在期間内において、2018年7月豪雨の最大1時間雨量が歴代4位である一方で12時間、24時間雨量が歴代1位となるような、長期的に降雨が連続した降雨波形の特徴を反映している可能性も示唆される。 ある斜面が、過去の降雨ではなく特定の降雨で崩壊に至る理由としては、ある指標においてその降雨が既往最高記録を更新することや、過去の履歴最大となる降雨以降、地形・植生・土地利用等の条件が変わったこと等が想定されるが、本事例のように過去の複数の降雨履歴、崩壊履歴を確認することで、それらの影響を評価することが可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画していた検討項目を概ね達成した。ただし、当初計画していた現地調査については新型コロナウイルス感染症の影響で実施を延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度判読したデータをベースに、斜面単位で崩壊の発生状況を時系列で整理し、過去の崩壊の有無が次の崩壊発生の有無に与える影響の評価を行う。また、渓流単位で各降雨イベント時の崩壊の発生状況と土石流の発生状況を整理し、過去の土石流の有無及び規模が次の土石流の発生に及ぼす影響を評価し、現在の土石流に対するリスク評価を行う。
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Causes of Carryover |
現地調査が、新型コロナウイルス感染症の影響で実施を延期している状況にあり、事態が収束した時点で調査を実施する予定である。その他大きな使用計画変更は想定していない。
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Research Products
(1 results)