2019 Fiscal Year Research-status Report
免震すべり支承の各種依存性を統合した数値解析モデルの構築
Project/Area Number |
19K23546
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 建 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50840550)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 免震構造 / すべり支承 / 依存性 / 力学挙動解析 / 熱伝導解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
免震構造は、変形性能とエネルギー吸収性能を併せ持つ免震装置により建物固有周期を伸長させ、通常設計レベルの地震動に対して上部建物の安全性を大きく向上させる。免震すべり支承は、弾性変形とすべり挙動によるバイリニア特性が明快な支承・減衰一体型の装置であり、導入事例が多い免震装置である。免震すべり支承の地震時の力学特性変動を再現するために、三軸連成解析や熱・力学連成解析などの高度な技法が提案されている。しかし、これらは通常の構造解析プログラムでは対応が困難である。また、免震すべり支承の力学特性に関して、速度や温度に対する依存性の同定や計算モデルの構築はある程度進展しているものの、研究成果が散在しているのが現状である。本研究は、これらのモデルの統一や合理化を図ることで、使用性と拡張性の高い解析システムを開発し、いっそうの発展および普及に寄与するものである。 本研究では、オープンソースの有限要素解析フレームワークであるOpenSeesに、免震すべり支承の数値解析モデルを実装する。当フレームワークは、主たるプログラミング言語としてC++を使用し、複数の研究者が開発に参加できるようオンラインで整備されている。今年度は、高度な計算技法である熱・力学連成解析手法を対象とし、より単純な計算モデルへの分解が可能となる解析システムを構築した。具体的には、熱伝導解析モデルをC++のクラスを用いて力学モデルから分離し、任意の熱伝導解析モデルと力学モデルの組み合わせが動作可能となるよう整備したものである。今後、熱伝導解析モデルと力学モデルを別々に開発し、それらを併用した熱・力学連成挙動解析を行うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗を以下に示す。 (1)既往の熱・連成解析手法を精査し、計算のモジュール化が可能な部分を抽出した。(2)力学挙動解析と熱伝導解析を分離し、モジュール化された数値計算の要素を、任意の組み合わせに対して動作するように構築した。(3)高速な計算機を導入し、数値解析モデルを用いた大量計算の実行を可能にした。 以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に構築した数値解析モデルを用いて、複数の解析パラメータを組み合わせた解析ケースについて、網羅的な検討を行う。また、免震装置の実験から得られたデータを計算モデルに随時反映させ、最新の知見を取り入れた構造解析プログラムを構築する。研究の期間内において、OpenSees開発の本拠地であるUC Berkeleyにて開発者の指導を仰ぎ、さらなる研究開発を効率的に進める。
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Causes of Carryover |
学会参加にかかる費用が不要であったため、次年度使用額が生じた。次年度において、数値計算結果のストレージ費用と併せて使用する計画である。
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Research Products
(4 results)