2020 Fiscal Year Research-status Report
複層壁体における包括熱伝導率を用いた裏面温度予測とその実測
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19K23557
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
吉谷 公江 近畿大学, 工学部, 助教 (40845674)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 防耐火性能 / 内部温度 / せっこうボード目地部 |
Outline of Annual Research Achievements |
防耐火試験は一度の試験において試験体が完全に破壊されることに加え、試験体の構成や試験時間によっては、試験体が燃焼している最中に脱炉することもあり、発熱・発煙による人体への危険性は極めて高い。そのため、数値解析による防耐火試験の代替は常に求められている。本研究では、数値計算上においても材料厚さの場所ごとに異なる熱の伝わりやすさ(包括熱伝導率)を用いて、複層壁体における遮熱性予測(裏面温度予測)の有用性を明らかにすることを目的とする。 2020年度は、2019年度に引き続き、試験体材料の購入及び小型加熱試験を実施した。小型加熱試験では、炉内温度及び裏面空気温度の他に、試験体内部の温度を複数点(加熱側表面、材料内部、材料境界、非加熱側表面(裏面))を測定し、包括熱伝導率の推定及び裏面温度予測に必要な温度データの収集を行った。 試験体は、空気層を含む不燃材で構成された試験体とし、屋内側のせっこうボードに目地部を設け、せっこうボード下地材には、木材若しくは鉄スタッドを用いた。また、せっこうボード締結位置を変化させることで、せっこうボードの収縮及び下地材の変形によって、試験体内部温度の変化が生じるようにし、温度履歴のデータ収集を行った。 また、せっこうボードに目地部を設けることで、下地材である木材の燃焼や、鉄スタッドの座屈・変形によって生じるせっこうボードの脱落時間の変化を温度履歴として得ることができた。今後、可燃物の有無による試験体内部温度の差や合否判定基準となる裏面温度の差について検討し、裏面温度予測におけるパラメータの追加の必要性について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで実施できていなかった屋内側(せっこうボード側)加熱において、小型加熱試験を行うことができた。また、温度データにおいても、必要となるものが収集でき、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した温度データをもとに、包括熱伝導率の推定、裏面温度予測の妥当性の検討を行う。 屋外側加熱については、2019年度に収集した温度データから推定された包括熱伝導率と、本研究以前に推定した包括熱伝導率の双方を用いて、裏面温度予測を行う。屋内側加熱については、2020年度に収集した温度データを用いて、目地部からの熱流入を包括熱伝導率に追加する手法の検討を行う。
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Causes of Carryover |
建築学会大会にて発表予定であったが、新型コロナウィルスの影響により学会大会が中止となったため。2021年度にて学会大会で研究成果を発表予定としている。
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