2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K23667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安本 周平 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80853142)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 出芽酵母 / トリテルペノイド / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が生産する特化代謝産物は多様な生物活性を持ち、医薬品あるいはそのリード化合物としての利用が期待できるが、安定的な利用が困難となっている。近年、植物から特化代謝酵素遺伝子を単離し、培養が容易な大腸菌や出芽酵母といった異種宿主に導入することで、安定的に植物代謝産物を生産する合成生物学的生産手法が注目されている。 トリテルペノイドは 2,3-オキシドスクアレンから合成される一群の化合物であり、環化酵素 (OSC)、酸化酵素 (CYP)、配糖化酵素 (GT) によって生合成される。酵母は内在のステロール合成のために、2,3-オキシドスクアレンを合成しており、植物に由来する生合成酵素を導入することで、目的とするトリテルペノイド化合物を合成することが可能となる。酵母におけるトリテルペノイド生産量を向上させるために、メバロン酸経路の律速酵素である HMGRや、メバロン酸経路を制御する転写因子を発現させるなどの試みが行われているが、出芽酵母におけるトリテルペノイド生産量は未だに十分に高いとはいえない。 本研究では酵母におけるトリテルペノイド合成の競合経路である内在ステロールへの代謝を担うラノステロール合成酵素遺伝子 (ERG7) について、タンパク質レベルでの制御を行うことで、トリテルペノイド合成量の向上を試みた。酵母に AID (auxin-inducible degron) システムに必要となるカセットを導入後、染色体上のERG7 遺伝子に AID-tag をノックインした。当該酵母株についてトリテルペノイド生産量を GC-MS により測定したが、明確な生産量の向上は認められなかった。AID-tag を導入前の株と比較すると、増殖の低下とエルゴステロール量の低下が見られたことから、非特異的な (オーキシン添加前の) ERG7 の分解により、細胞増殖が抑制されたためと推測される。
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