2019 Fiscal Year Research-status Report
有機電解反応技術を応用した難粉末化農産物の乾燥粉砕化プロセスの開発
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19K23694
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
若松 弘起 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (00850306)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 食品工学 / 食品製造・加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電解酸化・還元の条件最適化と乾燥粉砕化の装置および加工特性の把握、最適化の二つに大きく研究が分かれる。研究計画では、可食可能な有機酸塩を電解質に用いて、電解還元および電解酸化を実施し、各種電解酸化・還元の条件の最適化を実施する計画であった。また、乾燥粉砕化の装置および加工特性を把握し、プロセスの最適化および、殺菌作用等の解明を実施することを計画していた。 まず乾燥粉砕化の加工プロセスの最適化については、フィーダーを導入し、長時間での作業を解決することができた。また加工プロセスにおいて、殺菌作用は見込まれるものの、プロセスとして菌数制御技術が重要な課題であることがわかった。特に加工食品となる場合に、菌数の上限値gあたり3000個であり、現状加工プロセスでは、洗浄工程を踏まえても多くの菌が含まれた状態からの加工となるために、どのように洗浄および殺菌をしていくかのプロセスを確立することが重要であることがわかった。さらに、より栄養を保持しながら加工を実施し、かつ殺菌効果を向上させることが可能な装置構成を考案した。考案内容を特許にまとめ、獲得した共同研究先において社内決裁を待っている状態である。至一方で、電解条件の最適化のために、バッチ試験により、電解還元の最適化を実施した。基質はグルコースとした。先行研究を参考に、食品として食べられる条件において最適な反応条件を検討した結果、常圧下でもグルコースを還元し、収率83%でソルビトールが得られることを確認した。また、複雑系である食品でも還元できるかを検討するために、グルコースおよびフルクトースを多く含む食品であり、粉末化が困難である中東諸国の主要な農産物であるナツメヤシの実デーツを直接還元し、その条件等を実施した。反応が進行しているのは確認しており、現在詳細に解析および条件検討を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、電解酸化・還元の基盤技術について研究し、最適化な条件を明らかにしていきながら、社会実装に必要な要件についても明らかにすることを目標としていた。計画通り、電解還元についての条件検討を実施し、その条件を明らかにした。また加工プロセスの開発では、社会実装に繋げるために菌数制御がもっとも重要であることを発見した。特に本成果から共同研究へ発展し、新たな機械構想を得た上で、特許出願の直前にまで至っている。また加工プロセス自体も改善され、長時間の実験にも耐えられる環境を整えた。以上のように、当初の計画は概ね達成し、社会実装に必要な要件も明らかにしてきた。さらに、新たな機械の着想も得ることができ、特許申請まで達成しているため、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では初年度は、電解酸化・還元の基盤技術について研究し、最適化な条件を明らかにしていきながら、社会実装に必要な要件についても明らかにすることを目標としていた。次年度においては、実際の共同研究や開発した技術を用いた事業化へ発展させるため必要な技術において検証および開発を実施していくことを計画していた。初年度では、電解還元について最適な条件を探索し、グルコースの電解還元およびグルコースが多く含まれる複雑系の食品においてもその応用が成功している。また、加工プロセスでは、菌数制御が重要な課題であることを確認し、それらの課題から着想した新たな機械の構造について特許出願直前にまで至っている。今後の研究については、まず電解酸化・還元において、フロー状態での電解酸化・還元への応用を検討するために、バッチ状態でのスケールアップや収率の向上、生成物の分離プロセスなどの検討を実施する。また、加工プロセスでは、菌数制御を実現するために、事業面からも社会実装可能な形での加工プロセスを検討する。また考案した機械構成を実証していくために、機械改良等を検討し、栄養成分をより保持し、かつ菌数制御が可能な加工プロセスの開発を目指す。さらに、社会実装において重要な技術情報について、ヒヤリングを重ね、本技術の応用においての可能性や課題を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)