2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞内小胞輸送におけるイノシトールリン脂質の包括的解析
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19K23712
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
馬場 崇 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (90609992)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / 小胞輸送 / 後期エンドソーム・リソソーム / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内小胞輸送は、膜タンパク質の局在化や分泌に必須である。これまで小胞輸送を担うさまざまな被覆小胞が単離され、その形成に必要なタンパク質因子群の機能解析は詳細に行われてきた。一方で、小胞形成に同様に重要である脂質膜に関する解析は遅れていた。これは脂質成分を特定の小区画において迅速かつ定量的に測定することが困難であったことが大きな要因として考えられる。最近申請者は、生物発光共鳴エネルギー移動 (BRET) の原理を応用し、エンドソームのイノシトールリン脂質をライブモニタリングする実験系を導入した (Baba, T. et al. 2019, EMBO J) 。本研究の目的は、BRET及びFKBP12/FRB二量体化による脂質分解系をさまざまなオルガネラに応用することによって、小胞輸送における脂質及び代謝酵素の役割を分子レベルで明らかにすることである。 研究代表者はこれまで後期エンドソーム・リソソーム膜におけるPI4PからPI(4,5)P2への変換が、オートファゴソームとリソソームの融合に働くことを明らかとしている(EMBO J, 2019)。さらに最近、初期エンドソームのPI3Pの減少は後期エンドソーム・リソソームのPI4P量に影響を与えることが分かった。このことはPI3Pが初期エンドソームから後期エンドソームへの成熟に働くことを裏付ける結果であると考えている。また、細胞膜PI(4,5)P2の合成に関わる酵素とエンドサイトーシスとの関係に関する新たな知見も得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エンドソーム・リソソームや細胞膜に関する進展はあるが、その他のオルガネラの解析がやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小胞体(ER exit site)、ゴルジ体等のオルガネラに着目し、小胞輸送における脂質の役割を明らかにする。細胞内で最大のオルガネラである小胞体の脂質定量法の導入に重点を置く。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は当初の計画よりも旅費やその他の直接経費が抑えられたため。翌年度の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)