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2019 Fiscal Year Research-status Report

シグナル増幅法を組み合わせた赤色光作動性の新規遺伝子発現制御システムの開発

Research Project

Project/Area Number 19K23716
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

河野 風雲  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (20786090)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2021-03-31
Keywords光遺伝学 / タンパク質工学 / 遺伝子発現制御
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、遺伝子工学的手法を基にタンパク質工学を施した光遺伝学を基盤技術として、哺乳動物生体内で遺伝子発現の光操作を、高い光誘導効率で実現する「シグナル増幅法を組み合わせた赤色光作動性の新規遺伝子発現制御システムの開発」に取り組む。現在までに多数報告されている青色光受容体を基盤とした技術において大きな課題である組織透過性の問題を、「生体の窓」と呼ばれる650 nmから1000 nm付近の組織透過性の高い波長である電磁波(赤色光から近赤外光と呼ばれる光)に応答する光受容体を基盤とする光遺伝学の技術開発することによって克服する。具体的には、ビリン系補因子ビルベリジンを捕因子として結合する放射線耐性細菌由来の赤色光受容体バクテリアフィトクロムDrBphPを用いて、赤色光で操作可能な赤色光作動性の新規遺伝子発現制御システムの開発を試みる。そのために、当該光受容体とLexA DNA結合ドメインの構造情報を基にした合理的分子設計による遺伝子融合と、転写因子VP16をさらに融合させたマルチキメラタンパク質を開発する。現在までに、組織透過性の高い電磁波である赤色光(650 nm)と近赤外光(740 nm)に応答する植物とバクテリア由来の光受容体を用いた光遺伝学の遺伝子制御技術が二例報告されている。これらは、光応答のためにビリン系捕因子の外部添加を必要とすることや、光応答性が非常に悪いことなど、実用性が著しく欠けている問題を残している。本研究で開発するマルチキメラタンパク質を基にした光遺伝学の技術は、哺乳類細胞内でも内在的に産生されるビリン系補因子ビルベリジン型の赤色光受容体を基盤とすることで、捕因子添加の問題をまず克服する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度は、ビリン系補因子ビルベリジンを捕因子として結合する放射線耐性細菌由来の赤色光受容体バクテリアフィトクロムDrBphPを用いて、赤色光で操作可能な赤色光作動性の新規遺伝子発現制御システムの開発を進めた。まず、当該光受容体のホモ二量体構造とLexA DNA結合ドメイン構造の情報を基に、赤色光を照射した時のみDrBphPとLexAの融合タンパク質がDNAに結合することが可能な分子設計を合理的に行った。この動作原理を基に、DrBphP-LexA融合タンパク質にさらに転写因子VP16を融合させたマルチキメラタンパク質を作製した。当該コンストラクトを哺乳類細胞株に遺伝子導入し、赤色光照射を行ったところ、レポーター遺伝子であるホタルルシフェラーゼによる生物発光の変化が光依存的に確認され、遺伝子発現を赤色光の照射・遮断で自在に制御できることを示した。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、DrBphPのホモ二量体界面におけるアミノ酸残基に、二量体結合親和性を向上させるための変異導入をまず行う。それにより、光依存的な遺伝子発現制御の効率向上を目指す。次に、SunTag系を応用したシグナル増幅法を組み合わせることによって,遺伝子発現を劇的に増幅させた遺伝子制御システムの開発を遂行する。DrBphP-LexAシステムの欠点は、ホモ二量体を形成している双方が光活性化状態を必要とすることである。そのため、転写因子を一箇所に多数集積させることによって、微弱な光においても応答性を強化することを試みる。さらに、開発した技術を培養細胞レベルだけでなく、in vivoレベルでの実用性を検討する。特に、マウス脳内おいて、頭蓋骨越しに非侵襲的に遺伝子発現を光操作可能かどうかを検討し、世界で初めての非侵襲的な光遺伝学の技術としての応用展開を行う。

Causes of Carryover

当初計画していた予算額と実際に交付された金額に大きな差があったことが大きな理由である。本研究を確実に遂行するために、前年度においては、コンストラクトの作製と最小限の原理証明実験に留めることで、予算執行額を減らした。そして本年度は、論文投稿のために必要なデータを取得するために、繰り越した予算を物品費に当てる。

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Published: 2021-12-27  

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