2019 Fiscal Year Research-status Report
脳幹橋部バリントン核を標的とした、青色LEDを用いた新規排尿障害治療法の創成
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19K23781
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 悠城 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (90766619)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | バリントン核 / マウス / 排尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はすでに、BarrCRHの光遺伝学的刺激が膀胱収縮もしくは排尿を誘発し、一方で、同神経核の薬理遺伝学的抑制が、正常排尿を著しく障害することを確認してきた。さらに、BarrCRH刺激は、膀胱が尿を十分に蓄えていない状態では、排尿を惹起しないことも確認してきた。次に、BarrCRHの生理学的特質解明のため、世界初となる光遺伝学的に同定されたBarrCRHのマルチチャネル神経活動測定を成功させ、その結果、排尿直前にBarrCRHがバースティング発火すること、ならびに、畜尿期においても、BarrCRHの活動性および畜尿期の膀胱内圧上昇(排尿を伴わない膀胱収縮)が強く同期していることを突き止めていた。 今回我々は、測定された全113ニューロンの中で、青色LED照射により発火しバリントン核CRH陽性ニューロンと同定された12ニューロンを解析した。同12ニューロンのバースティング発火は畜尿期において膀胱収縮(NVC)を引き起こし、排尿閾値圧付近で排尿を引き起こした。この結果より、バリントン核は排尿の単なるon-offスウィッチャーではなく、求心路・遠心路を介在した膀胱と仙腰髄で構成される副交感神経支配の脊髄運動反射路を作動させるものと考えられた。この仮定の妥当性検証のため、これまで我々はマウス排尿の新規神経モデルを作成した。BarrCRHおよび自律神経節前ニューロンの動きを神経モデルNEURONで再現し、次にMATLABを用いて新たにモデル化した膀胱求心路の神経活動と統合させ、新規数理モデルを構築することに成功した。同モデルの結果、マウス脳幹橋部におけるバリントン核刺激と同様の現象を、脊髄レベルの操作で模倣(再現)できる可能性が出てきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで光遺伝学の実験基盤の無い施設における新規ラボの立ち上げのため、義務的な手続きや新たなスペース確保などに時間を要した。また新型コロナに伴う大学施設閉鎖の影響もあり、実験計画はやや遅れ気味となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規数理モデル構築によりマウスの正常排尿における脊髄神経内のlocalな反射が極めて重要であることが改めて示唆された。近年、光遺伝学の実験機器の性能向上により、optoシステムの簡易化、小型化が実現されつつある。今後は新たなワイヤレスシステムなどの導入を検討中であり、導入できればawakeなマウスに対する脊髄照射の可能性も出てくるため、意欲的に取り組む所存である。
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Causes of Carryover |
これまで光遺伝学の実験基盤の無い施設における新規ラボの立ち上げのため、義務的な手続きや新たなスペース確保などに時間を要した。また新型コロナに伴う大学施設閉鎖の影響もあり、実験計画はやや遅れ気味となっている。そのため、使用機材購入も遅れており、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)