2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K23844
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大野 将司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80845488)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / IL38 / 好中球遊走 / IL36シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの生検検体のmRNAを用いた解析では、IL-38のmRNAは潰瘍性大腸炎の活動期で優位に高く発現しており、炎症期に何らかの機能を有していると考えられた。また、免疫染色で、その発現はほとんどが非腸管上皮細胞(lamina propria mononuclear cells)に発現していることが判明した。 WTマウス及びIL38KOマウスに急性DSS誘発腸炎を誘発させたところ、IL38KOマウスは有意に高い致死率および、体重減少率を示した。in vivoで大腸上皮細胞を単離してmRNAを抽出して定量PCRを行ったところ、IL38KOマウスではCXCL1,CXCL2の発現が有意に高く、また、実際にlamina propriaのCD11b+, Gr1+好中球が有意に多く存在した。 さらに、in vitroで腸管上皮細胞株HT-29をIL-36とIL-38で同時刺激したところ、IL-38はIL-36が誘導するCXCL1,CXCL2の発現を優位に減少させた。また、Western blottingでMAPKやIkBaのリン酸化抑制効果が示唆された。 以上より、IL38は炎症急性期において、好中球遊走を抑制する働きがあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想していたクローン病では、IL38の発現は有意には亢進していなかったため、 腸管線維化に関わっているかは今までのところ不明である。しかし、炎症期において好中球遊走の抑制に大きな役割を果たしていると考えられ、非常に有用な結果と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoの腸管上皮細胞のmRNAを用いてRNA-seqを行う予定。 また、IL-38の上述の効果が、IL-36シグナルの遮断のみによるものか検討する。具体的には、結合受容体の検索を行う。
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Causes of Carryover |
前述した通り、DSS誘発腸炎を誘発させたWTマウスおよびIL-38KOマウスから単離した腸管上皮細胞のRNAを用いて、RNA-seq解析を行う予定。 これにより、in vivoでIL-38が腸管上皮細胞に対してどのような効果を発揮して、腸炎悪化が起こっているのかを解明できうる。
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