2019 Fiscal Year Research-status Report
新規IL-33活性化機構解明による慢性アレルギー性疾患治療法の開発
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19K23858
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
熊谷 仁 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30846142)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | アレルギー性気道炎症 / Th2細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の背景には、気管支喘息をはじめとした慢性アレルギー性疾患患者数の増加が問題となっていること等がある。気管支喘息は根本的な治療法のない疾患であり、対症療法を中心として治療が行われている。増え続ける患者数にあわせて、医療費は世界的にもわが国としても増加の一途をたどっている。 本研究では気管支喘息の病態形成において中心的な役割を果たしている2型ヘルパーT(Th2)細胞を中心として解析を進めている。その中でも、インターロイキン(IL-)33という炎症性サイトカインの活性化が病態形成に深くかかわっていることが近年の研究で解明されてきており、その活性化に関与する分子メカニズムの解明に挑んでいる。 Th2細胞が産生・分泌するプロテアーゼの1つ(ここでは「プロテアーゼX」とする)が、IL-33を活性化するのではないかという仮説のもとに研究を進めている。プロテアーゼXの産生制御機構は未だ十分に分かっていないが、Th2細胞において、ある種の転写因子(ここでは「転写因子Y」とする)が欠損されることでプロテアーゼXの産生が著しく低下する事を明らかにした。さらに、その転写因子Yはリン酸化されることで活性化することが古くから知られているが、そのリン酸化に係る分子についても候補となるものを同定するに至っている。 今後は、これらのプロテアーゼXや転写因子Y、またその上流の分子について、遺伝子欠損マウスや阻害剤を用いた研究を進め、気管支喘息の病態が改善するのかを検討し、新規治療法に繋げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で解明することを目指している項目が2つある。そのうちの1つが「研究実績の概要」に記載した研究内容である。そちらについては順調に候補分子の探索や遺伝子欠損マウスの作成・準備が進んでおり、順調であると言える。一方で、もう1つの項目については、現在進行形で研究を行っているところであるが、確定的な成果を出すには至っていない状況である。 以上より、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、本研究で解明を目指している項目のうち1つは進んでおり、細かなメカニズムの追求の段階に至っている。そのため、遺伝子欠損マウスや阻害剤を用いたマウス実験を行うことによって、気管支喘息の新規治療法開発に繋がるような研究を行っていく予定である。一方、残りの1項目については大まかなメカニズムが掴めている状況ではあるが、IL-33の活性化がin vitro、in vivoともに証明できている段階ではない為、更にその領域を確かめるための実験を進めていく予定である。
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