2019 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における糸球体ポドサイト代謝変化のライブイメージングによる解析
Project/Area Number |
19K23867
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菅野 雄耶 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90846982)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Keywords | 腎臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平常時及び病気の状態における糸球体ポドサイトの代謝変化のメカニズムを明らかにすることを目的とする。その大きな目標への第一歩として細胞培養系に着目した。細胞培養系で得られる知見は、ゼブラフィッシュやマウス等のモデル生物を使ったin vivoの研究への足掛かりとなる。本研究で選んだMDCK細胞は腎臓の表皮細胞の優れたモデルシステムとして知られる。そこで、CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を利用して、哺乳類のAjuba関連遺伝子をMDCK細胞においてノックアウトを試みた。その結果、関連遺伝子の一つLIMD1を欠損したMDCK細胞株の樹立に成功した。Ajuba関連遺伝子は細胞間のイオン透過の調節に不可欠な接着結合に局在することが報告されている。いくつかの細胞接着因子の免疫染色をした結果、LIMD1欠損株において細胞間接着の構造に明らかな表現型は認められなかった。Ajuba及びWtipといった他のファミリー遺伝子が失われたLIMD1の機能を補っている可能性が示唆される。今後、これら遺伝子を共に欠損させたダブル、トリプルノックアウト細胞株の樹立により詳細が明らかにされると考えられる。接着結合は腎臓においても決定的な機能を担うが、分子レベルでの詳細なメカニズムにはまだ不明な点が多い。樹立された細胞株は腎臓による体液の恒常性の維持を研究する上で有用なツールとなると期待される。
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