2019 Fiscal Year Research-status Report
CIML NK細胞の各subset毎の機能解析とそれを応用した胃癌新規治療の開発
Project/Area Number |
19K23892
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
久保 智洋 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00634669)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | NK細胞 / 細胞障害活性 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年 NK (ナチュラルキラー)細胞を複数のサイトカ インで刺激することにより、強力な細胞毒性効果のある CIML(Cytokine-induced-memory-like) NK 細胞に変化することが報告されており、造血器腫瘍に対する効果は立証されいる。しかしながら固形腫瘍に対する CIML NK細胞の効果について検討されている報告は乏しいため、本研究において、固形癌(胃癌細胞株)におけるCIML NK細胞の効果を検討することを目的とした。まず健常人の末梢血からNK細胞をRosetteSep (STEMCELL 社)を用いて分離し、複数のサイトカインで16時間刺激することでCIML NK 細胞を作成した。次いでCFSE でラベルした複数の胃癌細胞株をCIML NK細胞と4時間共培養し、Flow Cytometry を用いた apoptosis assayを行い、細胞障害活性を評価した。IL-2のみで刺激したNK細胞と比較して、CIML NK細胞の胃癌細胞株に対する細胞障害活性は有意に高いことを立証した。さらに胃癌細胞株に対するCIML NK 細胞の細胞障害活性は、既報ですでに報告されている急性白血病細胞株に対する細胞障害活性と同等であることを立証した。 以上より、CIML NK細胞は胃癌に対して抗腫瘍効果を発揮し、今後の胃癌の新たな治療戦略の一つになる可能性がある極めて貴重なデータが得られたと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つである胃癌細胞株に対するCIML NK細胞の効果について検討し、複数の胃癌細胞株に対するCIML NK細胞の高い細胞障害活性を証明し、今後の研究の発展に繋がる大変貴重なデータが得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回、胃癌において CIMLNK 細胞は強力な細胞溶解活性を示すデータが得られたため、今後はその機序解明のため、胃癌細胞株とCIML NK細胞を共培養し、CIML NK細胞のサイトカイン産生能やNK 細胞受容体の発現変化をFlow Cytometry を用いて評価する。さらにはCIML NK 細胞のサブセット(CD56bright NK細胞及びCD56dim NK細胞)毎の機能を明らかにするため、CIML NK細胞を各subsetにFACS sortingし、各々のsubset毎に細胞障害活性及びサイトカイン産生能やNK 細胞受容体の発現変化を検討する。 また胃癌細胞株を用いて皮下腫瘍マウスモデルを作成し、CIML NK 細胞の抗腫瘍効果を検討する。
|
Causes of Carryover |
PBMCからNK cellをsortingする際に用いる各種抗体の購入が必要である。またFlow Cytometryでサイトカイン産生能やNK 細胞受容体の発現をFlow Cytometry を用いて評価する必要があり、その際の染色キット・抗体の購入が必要である。さらには胃癌細胞株を用いて皮下腫瘍マウスモデルを作成を予定しており、マウス購入費が必要であるため、次年度使用額が生じた。上記Flow Cytometry用の抗体を用いてsortingを行い、CIML NK細胞のサイトカイン産生能やNK 細胞受容体の発現を評価する。さらには購入したマウスを用いて皮下腫瘍モデルを作成し、CIML NK細胞の抗腫瘍効果を評価する予定である。
|